日本ザル (<I>Macaca fuscata</I>) の心電図およびヒス束心電図に関する研究

書誌事項

タイトル別名
  • Electrocardiogram and His Bundle Electrogram of Japanese Monkeys (<I>Macaca fuscata</I>)
  • 日本ザル(Macaca fuscata)の心電図およびヒス束心電図に関する研究〔英文〕
  • ニホンザル Macaca fuscata ノ シンデンズ オヨビ ヒス ソク

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説明

アイオナールナトリウム腹腔内注射により麻酔し, 仰臥位に固定した健康な日本ザルよリ, 心電図ならびにヒス束心電図を記録した。心電図記録に用いた心電計および誘導法はヒとのそれと全く同一である。心電図各棘波の波形と振幅は, 他種属のサルだけでなく, ヒトのそれにもよく類似したが, 心拍数は, 実験の方法やサルの種属によりかなり異なり, またヒトとも大きく異っていた。また, PR, QRS, QT間隔, およびP波の幅は, 他種属のサルのそれとはよく一致したが, ヒト心電図のそれらと比較すると約1/2であった。ただ, 日本ザル心電図のT波の極性はヒトのそれと非常によく一致した。一方ヒス束心電図は, 3極の電極カテーテルを右大腿静脈より挿入し, 右心室へ進め棘波Hが最もよく観察されるところで固定し, 記録した。PA, AH, HV, PVの各間隔を測定し, 正常ヒトのヒス束心電図のそれらと比較したところ, 心電図で得られた各棘波時間間隔と同様に, それらの測定値は約1/2であることが判明した。ここに示した日本ザル心電図ならびにヒス束心電図より得た計測値は, いわゆる参考値として, 同種属サル心電図の診断に際して, 有用であろう。また日本ザル心電図T波の極性がヒト心電図のそれに近似していることから, ヒト心電図の再分極過程の研究にとって日本ザルは有用なモデルとなり得ることが考えられる。

収録刊行物

  • Experimental Animals

    Experimental Animals 32 (4), 167-173, 1983

    公益社団法人 日本実験動物学会

被引用文献 (3)*注記

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