バイオフィルムの可視化による創傷ケアの変革

  • 仲上 豪二朗
    東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻老年看護学/創傷看護学分野 東京大学大学院医学系研究科附属グローバルナーシングリサーチセンター
  • 真田 弘美
    東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻老年看護学/創傷看護学分野 東京大学大学院医学系研究科附属グローバルナーシングリサーチセンター

書誌事項

タイトル別名
  • Innovation of Wound Care by Visualizing Biofilms
  • バイオフィルム ノ カシカ ニ ヨル ソウショウ ケア ノ ヘンカク

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抄録

<p>【要旨】褥瘡や糖尿病足潰瘍などの慢性創傷は外部からの細菌曝露を常に受けており,宿主の免疫力が低下しているため感染症を発症するリスクが極めて高い.近年,創傷感染の成立に多糖を主体とする細菌由来のバイオフィルムが関与していることが明らかになり,バイオフィルムの有無に対応して創傷管理するbiofilm-based wound managementが重要視されている.しかし,バイオフィルムの同定は組織生検と顕微鏡での観察を必要とするため,臨床でバイオフィルムが創傷に存在するか判断することは困難であった.そこで我々は創面に存在する微量な成分を検出する方法である創面ブロッティングを応用し,多糖成分を検出することにより創面上のバイオフィルムの分布をベッドサイドで可視化する技術を考案した.この技術は,創面を洗浄したのちにニトロセルロースメンブレンを10秒間貼付し,メンブレンを多糖成分に特異的な染色液に浸漬することによりバイオフィルムを可視化するものである.検出に要する時間は2分程度であり,ベッドサイドで実施可能な,極めて非侵襲的かつ簡便なポイントオブケアバイオフィルム検出技術である.バイオフィルムを検出することにより,創の清浄化の指標とすることができ,より適切な創部局所管理が可能となる.</p>

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