渇水時のスナネズミ (<I>Meriones unguiculatus</I>) 腎臓のレニン陽性細胞に関する形態計測学的研究

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タイトル別名
  • Morphometric Studies on the Effects of Dehydration on the Renin-immunopositive Cells in the Kidney of the Mongolian Gerbil (<I>Meriones unguiculatus</I>)
  • 渇水時のスナネズミ(Meriones unguiculatus)腎臓のレニン陽性細胞に関する形態計測学的研究
  • カッスイジ ノ スナネズミ Meriones unguiculatus ジンゾ

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抄録

スナネズミに長期間の渇水ストレスを与え, 腎皮質に抗レニン血清を用いた免疫染色を施し, 渇水によるレニン陽性細胞の動態を画像解析法によって形態計測学的に検討した。また同時に, 体重と血漿浸透圧も測定し, 形態計測の結果と比較検討して考察を加えた。渇水により, スナネズミの体重は, はじめは急激に減少し, その後, 渇水10日からは緩やかに減少した。一方, 血漿浸透圧は渇水2日では有意な変化は示さなかったが, 5日からは次第に上昇し, 15日からはほぼ平衡状態に達して一定の範囲内で高い値を保った。同様に, 腎臓皮質に対するレニン陽性細胞の面積比は, 対照群に比べて, 渇水2日では有意差がなかったが, 5日以降有意に増加を示し, 渇水15日以降は平衡状態となって対照群に対して有意に高い値を保った。この結果と体重および血漿浸透圧の変化より, 渇水初期には動物は細胞間液と細胞内液を動員して血漿浸透圧の上昇を防ぐため, 体重は減少するものの, 血漿浸透圧とレニン陽性細胞の面積比に有意な変化は認められないが, 渇水がある程度持続すると, 血漿浸透圧が上昇することによって糸球体傍細胞のレニン合成も盛んになり, レニン陽性細胞の面積比も増大すると思われた。また渇水が長期間にわたった時は水分の喪失に比例して体内から電解質も排泄されるようになるため, 血漿浸透圧は一定レベル以上には上昇せず, それに対応してレニン陽性細胞の面積比もほぼ平衡状態に達するものと考えられた。

収録刊行物

  • Experimental Animals

    Experimental Animals 42 (3), 327-335, 1993

    公益社団法人 日本実験動物学会

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