日本助産師会会員における妊婦への食生活支援に関する調査 「妊産婦のための食生活指針」の活用状況を中心に

書誌事項

タイトル別名
  • Current status of practice of providing dietary advice to pregnant women by members of the Japanese Midwives’ Association Knowledge and utilization of the “Dietary Guidelines for Pregnant and Lactating Women”
  • ニホン ジョサンシカイ カイイン ニ オケル ニンプ エ ノ ショク セイカツ シエン ニ カンスル チョウサ : 「 ニンサンプ ノ タメ ノ ショク セイカツ シシン 」 ノ カツヨウ ジョウキョウ オ チュウシン ニ

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抄録

目的 助産師は,妊婦への食生活支援の機会が最も多い保健医療専門職であるが,支援の実態に関する全国規模の調査はほとんどない。そこで妊婦に対する食生活支援の実態を明らかにするために,2006年に厚生労働省から発表された「妊産婦のための食生活指針」の活用状況に関する調査と,指針の活用に関連する状況について分析を行った。<br/>方法 日本助産師会会員から2,000人を無作為抽出し,郵送法で依頼状と調査票,ならびに返送用封筒を送付し,841人から回収を得た(回収率42.1%)うち,無職あるいは教育職のため有効回答が得られなかった44人と,白紙回答の 4 人,年齢階級または分娩取扱の有無について回答が未記入であった 8 人を解析から除外して,計785通を解析対象とした。<br/>  調査票の内容は,年齢階級,経験年数,分娩取扱の有無,所属施設の年間分娩取扱数,妊婦の食生活支援として実施している業務と連携職種,「妊産婦のための食生活指針」の内容の認知とその活用状況である。指針の内容は「妊産婦のための食生活指針」の 6 項目(1. 妊産婦のための食事バランスガイド,2. 妊娠期の至適体重増加チャート,3. たばことお酒の害について,4. 妊産婦のための食育のすすめ,5. 葉酸サプリメントの情報提供,6. 貧血予防の食事指導)を取り上げた。<br/>結果 回答者は20~29歳が1.8%と少なかった。分娩取扱者は392人と約半数であった。「妊産婦のための食生活指針」の内容を認知していた者は519人(66.1%)であった。指針の内容を認知していた食生活支援実施者426人中,指針の内容の 6 項目いずれかの活用者割合は88.0%であった。6 項目のうち最も活用者割合が高かったのは「貧血予防の食事」で活用者割合は75.8%であり,最も低かったのは「妊産婦のための食育のすすめ」で活用者割合は58.5%であった。分娩取扱者における 6 項目いずれかの活用者割合は84.9%であり,非取扱者の92.6%と比べ有意差を認めた(P=0.02)。分娩取扱者では,すべての項目で「所属している施設または自身で作成した資料を利用している」ことが,活用していない理由として最も多かった。非取扱者では,上記理由が最も多かったのは「妊産婦のための食事バランスガイド」,「たばことお酒の害について」,「妊産婦のための食育のすすめ」の 3 項目であった。<br/>結論 回答者の助産師にとって,妊婦への食生活支援は分娩とならぶ重要な業務であることが明らかとなった。また,指針の内容を認知している食生活支援実施者では,約 9 割が指針の 6 項目いずれかを活用していた。指針の個別項目が一層活用されるためには,助産師が活用している独自資料の内容を把握するとともに,助産師が利用しやすい指針のマニュアル等の整備が必要であると考えられた。

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