地域包括支援センター職員への地区診断研修プログラムの効果

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タイトル別名
  • Effectiveness of a community diagnosis workshop for the staff of a community comprehensive support center
  • チイキ ホウカツ シエン センター ショクイン エ ノ チク シンダン ケンシュウ プログラム ノ コウカ

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抄録

目的 地域包括支援センター職員を対象にした地区診断についての研修プログラムの効果を検討する。<br/>方法 研修プログラムの一般目標は,「地区診断のプロセスを経験し,その手法を身に付ける」とし,行動目標は,「参加者が地区診断に必要なプロセスを説明できる」,「参加者が地区診断を業務内に組み入れるようになる」の 2 つとした。東京都杉並区の地域包括支援センター職員19人に対して全 6 回の研修を2011年 5 月~10月に実施した。研修は Community as Partner モデルを参考に構成し,参加者によるグループワークを中心に行った。研修評価には,出席率および毎回の研修内容の評価を含むプロセス評価,脱落率を含むアウトプット評価,研修前,研修直後および研修終了 4 か月後の質問紙調査による定量的アウトカム評価,研修直後の自由記載調査による定性的アウトカム評価の手法を用いた。定量的アウトカム評価では,2 つの行動目標に対応した項目(具体的にイメージできる,業務内での優先順位),および地区診断を業務内で実施することへの自己効力感についての項目を設定した。<br/>結果 各回の出席率は83%~100%であった。内容評価はいずれの回でも出席者のほぼ全員(90%半ば~100%)から肯定的な回答を得た。参加者19人中,途中で休職した 1 人を除く18人が全 6 回の研修を修了し(脱落率 5%),全回出席者が13人,1 回のみ欠席者が 5 人であった。定量的アウトカム評価の結果,「地域の特徴や課題の発見•明確化」,「地域の課題に対する事業計画•展開」の地区診断の 2 つのプロセスの両者について,参加者は研修前後で具体的にイメージできるようになり,その効果は研修終了 4 か月後も維持されていた。また,これらを実施することへの自己効力感は研修前後で変化はなかったが,研修終了 4 か月後には向上していた。さらに,業務内での優先順位では,地域の課題に対する事業計画•展開について,研修直後に比べて研修終了 4 か月後で高くなっていた。定性的アウトカム評価では,参加者が地区診断の手法や重要性を理解しただけでなく,現在の事業や計画の見直しのきっかけや,センター全体で地域について考え,共有する必要性の認識につながっていた。<br/>結論 より詳細な検討が必要ではあるものの,地区診断に着目した研修を地域包括支援センター職員に対して実施した場合,地区診断への理解や具体的イメージの構築,業務に組み入れることへの自信の向上をはじめとする参加者個人の認識や行動への効果に加え,地域包括支援センターの組織活動への効果も上げ得ることが示された。

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