体外受精―培養―移植系の薬物の安全性試験への応用: 抗癌剤投与雄マウスの受精能試験

書誌事項

タイトル別名
  • An Application of <I>in Vitro</I> Fertilization —Embryo Culture— Embryo Transfer System on the Drug Safety Evaluation: Fertility Test of Male Mice Administered with the Anticancer Drug
  • タイガイ ジュセイ バイヨウ イショクケイ ノ ヤクブツ ノ アンゼンセイ
  • An Application of <I>in Vitro</I> Fertilization &mdash;Embryo Culture&mdash; Embryo Transfer System on the Drug Safety Evaluation: Fertility Test of Male Mice Administered with the Anticancer Drug

この論文をさがす

説明

本試験では, 薬物の安全性試験, 特に雄に対する生殖発生毒性の評価系へのマウスの体外受精―培養―移植系の応用を試みた。DNA合成を阻害し, 抗癌作用をもつ白金錯化合物DWA 2114Rを被験物質とし, 10週齢の雄に75mg/kgを尾静脈内に単回投与した。投与後4, 5, 6週目に過排卵処理雌と行った自然交配の翌日に, 卵管膨大部より卵を回収して受精率を観察した。受精卵を96時間まで培養に供し, 24時間毎に着床前の初期発生過程の観察を行った。また, 培養24時間後に2細胞期まで発生した胚の一部を偽妊娠0日目の受容雌の卵管へ移植し, その17日後に帝王切開して着床率および胎児生存率を観察した。その結果, 投与後4~6週目の受精率はDWA投与群が, 対照群に比べて低下する傾向が認められた。また, 投与後4週目において胚盤胞への発生率, 着床率, 胎児生存率の低下が観察されたが, 5, 6週目の成績は良好であった。以上の成績より, 雄マウスに対するDWA2114Rの投与は, 成熟前の生殖細胞のDNAに異常を誘発し, これが成熟して受精に関わった場合には, 受精卵の着床前の初期発生における胚盤胞形成および着床後の発生に影響を及ぼすことが示唆された。受精卵の体外培養―移植系により, 着床前の初期発生過程の観察が可能となり, 従来の生殖発生毒性の評価系を補完する系として, 有効に利用し得ることが示唆された。しかしながら, 体外受精系の応用による受精に関わる詳細な検討には, 体外受精系の改良を含む条件検討が必要であると考えられた。

収録刊行物

  • Experimental Animals

    Experimental Animals 42 (4), 565-570, 1993

    公益社団法人 日本実験動物学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ