住民と保健師の遺伝病に対するイメージに関する研究

書誌事項

タイトル別名
  • A study on the image of “genetic disease” between local residents and public health nurses
  • ジュウミン ト ホケンシ ノ イデンビョウ ニ タイスル イメージ ニ カンスル ケンキュウ

この論文をさがす

抄録

目的 住民と遺伝に関連した疾患等の相談に携わる機会が多いと思われる保健師とを比較することにより,遺伝の知識,病気のイメージなどの実態から遺伝病のイメージの特徴について検討し,遺伝病の啓発に向けての資料とすることを目的とした。<br/>方法 Y 県 K 市在住の住民の中から20歳以上65歳以下の住民を,住民台帳をもとに無作為抽出した500人,および調査時点で Y 県内に在職していた保健師320人を対象として自記式の質問紙調査を実施した。住民は訪問した上で,直接手渡しし,後日直接または郵送にて回収(2004年 8 月~10月),保健師は配布,回収ともに郵送法にて実施した(2005年 5 月~6 月)。<br/> 調査項目は,対象者の基本属性,遺伝に対する関心,遺伝に関する情報収集手段,遺伝病や先天異常の頻度,病気のイメージ,遺伝病のイメージなどの39項目であった。<br/>結果 住民は,訪問時長期不在であった 2 人を対象から外し,262人の回収(52.6%),保健師は153人(47.8%)の回収となった。住民,保健師の性分布が異なったことから女性のみを最終対象とした(住民144人,保健師151人)。対象者の平均年齢は,住民40.5±12.5歳,保健師35.7±9.5歳であった。<br/> 『遺伝に対する関心』がある者はいずれも約半分であったが,関心がある者の情報収集手段は,住民ではテレビ,新聞の順に多かったのに対し,保健師では医療関係者,インターネットであった。『今までにヒトの遺伝に関する授業・講演・説明などを受けたことがある』者の割合は,住民31.0%,保健師86.1%と保健師の方が高かった。ヒト集団の先天異常や遺伝病の頻度を実際の「1/20」と回答した者の割合は,住民の3.7%に対し,保健師は18.2%ではあったが保健師の方が高かった。<br/> 病気と遺伝病のイメージを比較すると,ことに感情のイメージの得点差が住民では病気と遺伝病のイメージ得点の分布は異なっていたのに対し,保健師では遺伝病の方がより否定的ではあったが,病気のイメージの得点分布と同様の傾向を示した。また,感情面での得点差は,住民より大きかった。<br/>結語 保健師の方が遺伝に関する専門的な知識や経験があると思われるにも関わらず,病気のイメージと比較して遺伝病の感情イメージの得点差は地域住民よりも大きく,ことに遺伝病に対して「避けたい」と回答する傾向が認められた。

収録刊行物

被引用文献 (2)*注記

もっと見る

参考文献 (13)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ