大学生の性に関する態度と自己同一性および自尊感情との関連

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タイトル別名
  • THE RELATIONSHIPS AMONG SELF-IDENTITY, SELF-ESTEEM AND ATTITUDE TOWARDS SEXUAL BEHAVIOR IN UNIVERSITY STUDENTS
  • ダイガクセイ ノ セイ ニ カンスル タイド ト ジコ ドウイツセイ オヨビ ジソン カンジョウ ト ノ カンレン

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抄録

目的 近年の青少年の性行動は,若年化,活発化の傾向にあり,また,人工妊娠中絶実施率は依然高値である。そこで,今回,青少年の性に関する問題意識を調査するとともに,性行動とくに避妊に対する態度を心理学的視点から解明することを主な目的とした。<br/>方法 愛知県下にある 4 年制大学(4 校)の18~23歳の男女学生計710人(男子;234人,平均年齢±標準偏差20.2±1.1歳,女子;460人,平均年齢±標準偏差19.5±1.1歳,年齢未記入および無効回答 9 人)を対象に2000年 4~7 月に調査を実施した。自己同一性についての「自分の確立」尺度,ローゼンバーグ自尊感情測定尺度(以下:自尊感情尺度)および性に関する態度・行動などについて,無記名自記式の質問紙を用いた。「自分の確立」尺度は,アイデンティティの基礎(以下:「基礎」)とアイデンティティの確立(以下:「確立」)を下位尺度とし,各尺度得点を算出後,年齢および学校・学部を調整しながら,性の項目との関連を比較検討した。<br/>成績 「自分の確立」尺度における平均合計得点±標準偏差は男子55.3±9.2点,女子52.2±9.3点であり,自尊感情尺度の平均得点±標準偏差は男子27.2±5.5点,女子25.7±5.2点であった。また両尺度間の相関係数は,男女とも高く,有意であった。<br/> 自分の性別に対する認識については,男女とも多くの者が肯定的に捉えており,「伝統的性役割」観に対しては,否定的意見が多くみられ,中でも女子に顕著であった。<br/> 性交に対する意志決定では,男子は82.4%,女子では69.5%の者は相手からの性交要求に応じると答えた。避妊に対する態度では,ほとんどの者がその必要性は認識していたものの,その他の構成要素においては,十分確立されていなかった。最近 1 年間の性交経験率は男子68.3%,女子48.2%であり,そのうちいつも避妊をしている者は男子50.6%,女子58.2%であった。<br/> 避妊に対する態度と「自分の確立」尺度との関連では,男女とも「コミュニケーション能力」,「習得能力」,「入手能力」において,「できる」と回答した者の方が尺度得点が高かった。とくに男子では,「自分の確立」尺度の合計得点,「確立」得点,女子では合計得点,両下位尺度得点に有意差が認められた。また自尊感情尺度では,男子では「習得能力」,女子は「コミュニケーション能力」,「習得能力」において有意差が確認された。しかし,両尺度とも実際の避妊行動との間には,有意差は認められなかった。<br/>結論 避妊に対する態度と避妊行動との間にずれがみられた。また,避妊に対する態度と自己同一性および自尊感情との関連においては,有意な関係が確認された。

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