RSV(Rous sarcoma virus)によるマウス脳腫瘍:GFAP染色による巨大円形細胞腫瘍の発生母細胞の解析

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  • RSV Rous sarcoma virus ニ ヨル マウス ノウシュヨウ GFAP センショク ニ ヨル キョダイ エンケイ サイボウ シュヨウ ノ ハッ セイボ サイボウ ノ カイセキ

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抄録

Rous sarcoma virus のSchmidt-Ruppin 株(SR-RSV, src oncogene 保持、以下RSV)はニワトリのがんウイルスで、ニワトリにウイルス産生性の腫瘍を形成する。このウイルスは哺乳動物にも、新生児に接種すると、発がん性を示し、ウイルス非産生性の腫瘍を形成する。我々はこのRSV を、成熟マウスでも、脳内に接種すると、容易に脳腫瘍が形成されることを見い出した2)。発生頻度はウイルスのlot を選べば(lot の詳細2)は略)、3 ヶ月以内にほぼ100% と高頻度にマウス脳腫瘍形成が可能であった。 このマウス脳腫瘍を組織学的に見ると、単一組織型のものの他に、しばしば種々の組織型の混在がみられたが、最も高頻度にみられた組織型は巨大円形細胞からなる腫瘍であった。この腫瘍は通常のヒト脳腫瘍の診断基準に合致しないことから、我々は巨大円形細胞腫瘍と仮称した4)。 本研究では、この巨大円形細胞腫瘍を対象にGFAP の免疫染色をおこなった。その結果、半数例以上に、弱陽性を含めると2/3 の例に、陽性染色がみられた。このことから、この腫瘍の発生母細胞はアストログリア系列の細胞あるいはその上流の神経幹細胞であることが示唆された。

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