介護老人福祉施設入所者の主観的幸福感に関連する要因

書誌事項

タイトル別名
  • Factors related to the subjective well-being of elderly residents of special nursing homes
  • カイゴ ロウジン フクシ シセツ ニュウショシャ ノ シュカンテキ コウフクカン ニ カンレン スル ヨウイン

この論文をさがす

抄録

目的 介護老人福祉施設に入所している高齢者の主観的幸福感の状況,および主観的幸福感の関連要因について,とくに入所者の生活実態に着目した上で明らかにする。<br/>方法 北陸 2 県 8 か所の介護老人福祉施設入所者のうち,65歳以上で,入所して 3 か月以上経過し,認知症高齢者の日常生活自立度においてランクII以下の者の124人を調査対象とした。2002年 8 月下旬から11月上旬にかけて,構成的質問調査票を用いた面接法による横断調査を行った。そのうち115人(男性26人,女性89人,平均年齢83.16歳(SD=7.13))を分析対象とした。調査項目は,主観的幸福感を PGC モラール•スケール改訂版で測定し,その要因として「基本属性」,「日常生活動作」,「健康状態」,「施設内の人間関係」,「生活の自由度」の 5 つの枠組みから構成した。<br/>結果 PGC モラール•スケール得点の平均値は,10.06点(SD=3.95)であった。重回帰分析の結果,介護老人福祉施設入所者の主観的幸福感の関連要因は,「生活の中で自分の意思で決定していると多く感じる」,「職員の笑顔を感じる」,「気になる病気がない」,「体の痛みがない」,「腎•泌尿器系疾患がない」ことであった。<br/>結論 介護老人福祉施設入所者において主観的幸福感の高い者は,日常生活において自由度が確保されていること,人間関係が良好であること,身体的健康状態が良好であることが見出された。このことから,介護老人福祉施設における望ましい居住環境を整備する上で,入所者がケアサービスを自由に選択できる環境を整備しつつ援助を行うこと,良好な人間関係を築けるよう働きかけること,入所者の健康状態について十分に配慮することが重要であることが示唆された。

収録刊行物

参考文献 (26)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ