新宿区の結核患者における治療中断の関連要因とDirectly Observed Therapyの意義

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タイトル別名
  • Risk factors of nonadherence with tuberculosis therapy in Shinjuku-city's tuberculosis patients and directly observed therapy services
  • シンジュクク ノ ケッカク カンジャ ニ オケル チリョウ チュウダン ノ カンレン ヨウイン ト Directly Observed Therapy ノ イギ

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抄録

目的 新宿区登録結核患者について,治療成功者と比べた治療中断者の特徴を検討する。<br/>方法 1996年~1999年に新宿区新登録の日本人結核患者のうち治療成功と治療中断について,結核登録カードより得た情報(性別,年齢,婚姻状態,同居者の有無,呼吸器症状の有無,結核の既往,合併症,飲酒状況,喫煙状況,職業の有無,初診時病型,菌検査,発見方法,受診の遅れ,診断の遅れ,および入院期間)に関して比較した。<br/>成績 女性の治療中断は 2 人と極めてわずかであった。男性に限定して検討したところ,治療成功者と比べた治療中断者の特徴は,婚姻状態が死別・離別,一人暮し,呼吸器症状あり,1 日に 3 合以上の飲酒,ホームレス,入院期間が 2 ヵ月未満などであった。ホームレスについては,入院期間で顕著な違いが認められ,6 ヵ月以上の入院での治療中断の割合は少なく,30歳未満ではすべてが治療中断となっており,一方,呼吸器症状なしでは治療中断はみられなかった。ホームレス以外については,婚姻状態が死別・離別ないし不明の者や一人暮しの者で治療中断が多くみられた。<br/>結論 治療中断リスクが高いことが明らかになったホームレス結核患者に対して,新宿区では療養支援の一環として2000年 6 月より対面して服薬を直接確認する体制(DOT: Directly Observed Therapy)を開始した。ホームレス以外でも,一人暮しでの治療中断が多いことが明らかになったため,今後このような人々への支援方法も具体的にしていく必要がある。

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参考文献 (13)*注記

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