医学生に対する行動科学に基づく睡眠改善教育プログラムの作成とその効果

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タイトル別名
  • Preparation and effect of a behavioral science-based education program for sleep improvement among medical students
  • イガクセイ ニ タイスル コウドウ カガク ニ モトズク スイミン カイゼン キョウイク プログラム ノ サクセイ ト ソノ コウカ

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抄録

目的 本研究の目的は,将来医師となる医学生を対象に,行動科学に基づく睡眠改善教育プログラムを作成・実施し,睡眠と睡眠障害への対処法に関する知識の変化を観察することによって睡眠の改善に関する効果的な医学教育を検討することである。<br/>方法 対象は医学部医学科の2002年および2003年の 6 年生とした。2002年の 6 年生には90分の講義と 2 週間の体験学習からなるプログラムを,2003年の 6 年生には講義のみのプログラムを実施した。講義では慢性不眠の行動療法について小冊子を用いて解説した。体験学習としては改善目標行動の設定および睡眠と行動のセルフモニタリングを行った。講義後と 2 週後に対象者の睡眠に関する知識,治療への態度,睡眠,睡眠に関連する生活習慣の変化を観察し,2 群(プログラム)間で比較した。<br/>結果 対象者の睡眠に対する知識は両プログラムともプログラム前よりも後で有意に増加した。また,体験学習を伴うプログラムでは患者への対処法に関する知識が講義前,講義後,体験学習を経るにしたがって変化し,行動療法による睡眠指導が「だいたいできそう」と考える学生が約 6 割に達した。また,体験学習群の睡眠は,「入眠時の悪夢」,「日中の眠気」,「熟眠感」,「起床時の気分」の有意な改善が認められた。また,睡眠関連の習慣でも「昼寝」,「居眠り・うたた寝」,「朝食の摂取」で有意な改善がみられた。一方,講義のみ群でも就床時刻や睡眠時間の不規則性に改善が認められた。<br/>結語 睡眠改善に対する簡便な教育プログラムを構築・提供することは,睡眠に関する知識や対処法に関する知識の向上および睡眠改善に有効であることが示唆された。また,体験学習の実践を含む行動科学的指導法は医学教育に有効であることも示唆され,さらなる実践研究と普及啓発が必要と考えられた。

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