仰臥位での上方押し作業における体幹部および頭頸部の負担

  • 門松 誠
    首都大学東京大学院システムデザイン研究科
  • 瀬尾 明彦
    首都大学東京システムデザイン学部

書誌事項

タイトル別名
  • Evaluation of Trunk and Neck Workload during Upward-pushing Tasks in the Supine Position
  • ギョウガイ デ ノ ジョウホウ オシ サギョウ ニ オケル カラダ カンブ オヨビ アタマ ケイブ ノ フタン

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抄録

本研究の目的は,仰臥位での上方押し作業における作業位置が体幹部および頭頸部の肢位,体圧分布,筋活動などに与える影響を評価し,その身体負担の特性を明らかにすることである.被験者12名を対象に,仰臥位より右上肢を挙上し,把持部を鉛直上向きに押す実験課題を行った.実験条件は,矢状面における把持部の高さ3水準(上肢長60%,75%,90%)と水平位置3条件(耳,肩,肘)を組み合わせ,計9条件とした.その結果,把持部高さ90%の条件では,体幹をわずかに前屈して左に回旋させる動作が生じ,胸部の体圧分布における重心位置が正中線側にずれることがわかった.頭部と胸部にかかる荷重(床反力)の大きさと位置をそれぞれ頭部と胸部の体圧分布より算出したところ,頭部荷重は把持部の水平位置が耳で高さ60%と90%の条件で高くなり,胸部荷重は水平位置が肘の条件で高くなる傾向が認められた.腹直筋と胸鎖乳突筋の筋電図はいずれも把持部高さ90%の条件で高い値を示した.以上より仰臥位での上向き作業では,把持部が上肢長75%の高さで耳あるいは肩の水平位置にあると,頭部や胸部の荷重が低めで胸部や頭部の引き起こしや回旋による筋活動も生じず,体幹部および頭頸部の身体負担が軽減できることが明らかになった.

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