社会福祉協議会支え合い事業を利用する独居高齢者の特徴

書誌事項

タイトル別名
  • Activities of daily living (ADL) of single elderly individuals using social assistive programs in a rural community
  • シャカイ フクシ キョウギカイ ササエ アイ ジギョウ オ リヨウ スル ドッキョ コウレイシャ ノ トクチョウ

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抄録

<p>目的 松本市では独居高齢者の生活状況の確認や孤独死予防のためのセーフティーネットとして,社会福祉協議会(以下,社協という)による4種類の「支え合い事業」が行われてきた。有償ボランティアによる,家事援助,昼食の配達,日常生活の楽しみの援助,電話での安否確認からなる。登録したすべての高齢者は,支え合い事業を1以上利用して生活を送る人と,登録のみで利用しない人に大きく分けることができる。本研究の目的は事業利用のある高齢者と申請のみで利用のない高齢者の間で,心身機能や日常生活状況の違いを明らかにすることとした。</p><p>方法 調査対象は,平成26年6月四賀地区支え合い事業に登録した独居高齢者128人とした。同年9月から12月に社協職員による訪問調査を行った。調査項目は性,年齢,BMI,独居期間,日常生活動作能力,うつ傾向,コミュニケーション能力(社会的スキル得点),栄養状態,行政の支援サービス利用の有無,日常の移動手段,他者との交流頻度,情緒的・手段的サポートの授受とした。解析は,本事業1種目以上の利用群と申請のみの申請のみ群の測定指標を比較した。</p><p>結果 128人中,欠損データのある15人を除く113人を解析対象者とした。申請のみ群は89人(78.8%),利用群は24人(21.2%)であった。平均年齢±SDはそれぞれ82.3±4.3歳と83.9±4.2歳だった。</p><p> 2群の比較で,年齢,BMI,独居年数,活動能力,社会的スキル得点,うつ傾向得点,栄養状態では差を認めなかった。利用群は申請のみ群と比較して以下の3点で有意差を認めた。自家用車の使用が少なく,代わりに行政の有償車両サービスの利用が多く,困ったときの子供や親族からの世話を受領している割合が多かった。</p><p>結論 支え合い事業申請のみに比べ,利用する独居高齢者では公的移動サービス利用や子供や親族からのサポートが多かった。今後,独居高齢者の生活維持のために,移動手段の確保や周囲とのつながりの充実が重要と示唆された。</p>

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