デジタル運勢ラインシステムの実践的評価

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タイトル別名
  • Practical Evaluation of the Digital Fortune Line System
  • デジタル ウンセイ ライン システム ノ ジッセンテキ ヒョウカ

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抄録

本研究の目的は, 概念変化としての理科学習を支援するデジタル運勢ラインシステムについて, その学習支援の効果を実践的に評価することであった。<br>本研究においては, 次の2つの評価が実施された。第一に, デジタル運勢ラインシステムが, ペーパー・ベースの運勢ライン法よりも学習者の概念変化を促進するか否かを検討するために, デジタル運勢ラインシステムを導入した理科授業とペーパー・ベースの運勢ライン法を導入した理科授業を実施する中で, それぞれの授業に参加した学習者の概念変化の成果を比較した。その結果, デジタル運勢ラインシステムが導入された理科授業に参加した児童の方が, ペーパー・ベースの運勢ライン法が導入された理科授業に参加した児童よりも科学的に妥当な概念に変化しており, それが単元終了後3 ヶ月においても維持される傾向にあったことが明らかになった。<br>第二に, システムによって実現されるコミットメントの可視化・共有化がいかに概念変化を促進するのかについて検討するために, デジタル運勢ラインシステムを導入した理科授業を対象として, グループにおける共有機能の利用場面, およびクラス全体における集計機能の利用場面の相互行為分析を行った。その結果, システムの機能の利用を契機として, コミットメントの違いが可視化・共有化されること, さらには, 概念が正しいか間違いかを考える背後にある認識について自覚しあう相互行為が展開されることがわかった。<br>以上の結果は, 先行研究において予備的に評価されたデジタル運勢ラインシステムの学習支援効果について, 理科授業の文脈を通して裏付けるものであると結論できた。

収録刊行物

  • 理科教育学研究

    理科教育学研究 55 (1), 81-93, 2014

    一般社団法人 日本理科教育学会

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