自治体に働く保健師を対象とした職域保健との連携状況ならびにその関連要因に関する全国調査 保健所設置市と市町の比較を通して

書誌事項

タイトル別名
  • Nation-wide research on current status and related factors for collaboration with occupational health services by public health nurses working for municipalities: Comparison between major cities and other communities
  • ジチタイ ニ ハタラク ホケンシ オ タイショウ ト シタ ショクイキ ホケン ト ノ レンケイ ジョウキョウ ナラビニ ソノ カンレン ヨウイン ニ カンスル ゼンコク チョウサ ホケンジョ セッチシ ト シチョウ ノ ヒカク オ トオシテ

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抄録

目的 自治体に働く保健師を対象に職域保健との連携の実施状況等について調査を行い,全国的な実施状況と関連要因について保健所設置市と市町の比較により明らかにすることを目的とした。<br/>方法 東京都を除く全国の自治体(保健所設置市のすべて,市町は無作為抽出)に勤務し成人保健を担当している保健師各 1 人,計350人を対象に郵送による自記式質問紙調査を行った。有効回答数は216人(61.7%)であった。保健所設置市および市町ごとに基本情報,背景要因,障壁要因,連携の実施状況等を算出し,Mann-Whitney の U 検定および χ2 検定により比較した。保健師•自治体の基本情報および各背景要因,障壁要因と連携実施の有無との関連について,保健所設置市と市町ごとに Spearman の順位相関係数を算出した。市町における連携の実施に関連する背景要因および障壁要因については連携実施の有無を従属変数,背景要因,障壁要因をそれぞれ独立変数とする多重ロジスティック回帰分析を用いて分析した。<br/>結果 職域との連携の必要性を感じている者は96.8%と高かったが,「現在,連携している」は保健所設置市34.9%,市町22.9%であった。連携内容において職域関係者と健康課題や保健事業について協議する連携は保健所設置市24.5%,市町25.8%と低かったが,地域保健側から職域へ保健サービスを提供する連携は保健所設置市56.3%,市町52.2%と半数を超えていた。背景要因の該当状況において,職域との連携に関する教育を受講した者は保健所設置市22.2%,市町17.1%,連携に熱心なモデル保健師が身近に存在した者は保健所設置市9.7%,市町13.9%と少なかったのに対し,上司•同僚間で職域との連携の必要性について協議したことがある者は保健所設置市83.9%,市町74.0%と多かった。また,市町において連携実施に有意に関連している背景要因は「地域•職域連携推進事業ガイドラインを読んだことがある」,「地方計画へ連携に関する内容を盛り込んでいる」等,障壁要因は「自治体側のマンパワーが足りない」,「自治体内の在勤者まで支援対象とみなすことは出来ない」であった。<br/>結論 本研究において初めて地域•職域連携に関する全国的な実施状況や関連要因が明らかになった。保健所設置市,市町それぞれの連携状況とその関連要因に基づいた連携推進策を講じる必要性が示唆された。

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参考文献 (25)*注記

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