行動変容に対する個別助言をコンピュータ化した高血圧予防プログラム(第1報)

書誌事項

タイトル別名
  • One Month Behavioral Blood Pressure Control Program Assisted by Computer Tailored Advices (First Report)
  • 行動変容に対する個別助言をコンピュータ化した高血圧予防プログラム(第1報)プログラム終了者の10ヵ月後の追跡調査
  • コウドウ ヘンヨウ ニ タイスル コベツ ジョゲン オ コンピュータカ シタ コウケツアツ ヨボウ プログラム ダイ1ポウ プログラム シュウリョウシャ ノ 10カゲツ ゴ ノ ツイセキ チョウサ
  • —Follow-up Survey of the Program User’s Home Blood Pressures—
  • —プログラム終了者の10ヵ月後の追跡調査—

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抄録

質問票への回答から個別助言を自動出力する高血圧予防プログラムを作成し、追跡調査によって利用者の血圧と習慣への長期効果を検討した。用いたプログラムは、1ヵ月間に2回の紙媒体の郵送による双方向性の通信で、質問票の回答に基づき自動出力した個別助言を提供し、習慣改善支援のために①小冊子による情報提供、②習慣の自己評価、③食事と運動の目標行動の自己設定、④血圧と目標行動のセルフモニタリングを行わせた。2002年3月までにプログラムを終了した224名に、10ヵ月後に郵送による自記式質問票調査を行った。回答した197名(回収率87.9%)中薬剤変更のなかった127名で血圧と習慣行動の変化を、そのうち診療所血圧値が得られた86名で診療所血圧の変化を観察した。家庭血圧値は3日間の自己測定値の平均値を用いた。習慣分析は食事11項目、運動6項目等の22項目を3時点での比較と自己評価で行い、血圧変化と改善数との関係を検討した。その結果、家庭血圧値は142.5/86.0 mmHgから1ヵ月後に136.0/82.1 mmHgへ–6.4/–3.9 mmHg低下し、10ヵ月後に136.6/82.8 mmHgと維持されており、性差はなかった。135/80 mmHg以上の高血圧群100名(78.7%)では1ヵ月後–8.7/–5.5 mmHg、10ヵ月後に–8.8/–5.3 mmHgと低下が大きく、女性の低下が男性より大きかった。診療所血圧が把握できた86名では、149.7/89.9 mmHgから10ヵ月後には140.0/82.2 mmHgへと–9.6/–7.7 mmHg低下した。15の生活習慣(食事8、運動4など)が終了時に改善し、そのうち9項目が10ヵ月後まで維持されたが習慣改善と降圧効果とには一定の関係を認めなかった。以上より、本プログラムは降圧効果が10ヵ月後まで良好に維持されており、この効果は大規模介入試験の成績に匹敵することから、簡便で多数に適用できる教育ツールとなりうる可能性が高いと考えた。さらに、研究法に関する考察、高血圧に対する行動科学的接近法についての考察を加え、今後の課題について論じた。

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