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  • コツバン ゲカ カイボウ ジョロン

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抄録

骨盤腔は深くて狭いうえに,内部は直腸,子宮,膀胱,前立腺等の重要臓器で満たされており,臓器それぞれには血管,リンパ管,自律神経が出入りしている.QOLを重視した手術を行うには,これらの構造物の解剖と相互位置関係を熟知していなければならない.さらに癌の手術では,それらを包む結合組織性の膜様構造物(いわゆる臓側筋膜)の層構築がとりわけ重要であり,骨盤の解剖はさらに複雑化している.しかし幸いなことに,直接に手術に携わる外科系医師達自身による臨床解剖学的検索が進み,ここ10年程の間に大きな進歩がもたらされた.このようなとき,各科のエキスパートを集めた骨盤の外科解剖の特集が組まれたことは,非常に意義深い企画と考えられる.しかし,本特集の先端的な研究の内容を理解するには,準備体操,すなわち序論が必要であろう.ここでは,いささか古典的になってしまったきらいはあるが,基盤となる解剖学的知識を剖出所見を活用しながら検討しておきたい.

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