経尿道的前立腺レーザー蒸散術(PVP)

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  • ケイ ニョウドウテキ ゼンリツセン レーザー ジョウサンジュツ(PVP)

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抄録

光選択的前立腺蒸散術(photoselective vaporization of the prostate:PVP)の効果と安全性を検討した.対象は2006年から2011年にチタン酸リン酸カリウム(Potassium-Titanyl-Phosphate:KTP)レーザーによるPVPを受けた下部尿路症状を有する前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia:BPH)患者396症例(平均年齢 72.4歳,平均前立腺体積83.2ml) で,American Medical System(AMS)社から提供される出力80WのGreenLight PVを使用し,蒸散術を施行した.平均の手術時間は117分,レーザー照射時間は101分,レーザー照射量は342 kJであった.また,治療翌日のHb濃度の減少は0.4 g/dl,血清Na濃度の減少は0.6 mmol/lで,ともに有意な変動を認めなかった.治療前ならびに治療1カ月後の最大尿流量,残尿量,国際前立腺症状スコア(I-PSS),QOL indexの平均値はそれぞれ6.5 ml/秒から15.6 ml/秒,187.2 mlから24.2 ml,22.5から8.2,5.2から1.9と,いずれも術後早期から著明な改善を認め,良好な成績は術後5年以上維持されていた.治療に伴う主な合併症として,術後の肉眼的血尿を3例に,膀胱頸部硬化症を8例に,また切迫性尿失禁は3例に認めた.経過中に再手術を行った症例は11例(2.8%;全例に再度PVPを施行)であった.輸血を要した症例やTUR反応を来した症例,被膜穿孔を来した症例はみられなかった.さらにPerformance Status 3以上のハイリスク患者に対してもPVPは安全に施行することが可能であった.本法は,経尿道的前立腺切除術(transurethral resection of the prostate:TURP)や開腹術と匹敵する治療効果を有し,術中の出血やTUR症候群の心配が少ないことや,抗凝固薬服用中でも手術が可能であることから,今後BPHに対する有力な治療選択肢となるものと思われた.

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