両側神経温存腹腔鏡下前立腺全摘除術50例のアウトカム

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  • 両側神経温存腹腔鏡下前立腺全摘除術50例のアウトカム : intrafascialもしくはinterfascial dissection手技による術後早期尿禁制回復と制癌効果の検討を中心に
  • リョウガワ シンケイ オンゾン フッコウキョウ カ ゼンリツセン ゼンテキジョジュツ 50レイ ノ アウトカム : intrafascial モシクハ interfascial dissection シュギ ニ ヨル ジュツゴ ソウキ ニョウ キンセイ カイフク ト セイガン コウカ ノ ケントウ オ チュウシン ニ
  • ─intrafascialもしくはinterfascial dissection手技による術後早期尿禁制回復と制癌効果の検討を中心に─

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抄録

【背景】近年腹腔鏡下前立腺全摘除術(LRP)やRobot-assisted radical prostatectomy(RARP)において,intrafascial dissectionやinterfascial dissection手技で両側の陰茎海綿体神経を温存する術式が早期尿禁制回復に寄与するとの報告が見受けられる.<br> 【目的】われわれは,術前パラメータに応じてperiprostatic fascia(PPF)の剥離ラインをintrafascial dissectionもしくはinterfascial dissectionと左右個別に選択する両側神経温存LRPと,両側非温存LRPとで,周術期パラメータ,制癌効果および早期尿禁制回復などのアウトカムを比較検討した.<br> 【対象と方法】2007年2月から2010年10月の期間に,両側温存術式(温存群)および両側非温存術式(非温存群)のLRPを50例ずつ経験した.温存群においてPPF剥離ライン選択に用いたパラメータは,臨床病期,Gleason score,術前PSA値,陽性コアの数と場所,で50例100側に設定したPPF剥離ラインの内訳はintrafascial dissection 48側,interfascial dissection 52側で,施行した温存術式は,両側intrafascial dissection 16例,intrafascial dissectionとinterfascial dissection 1側ずつ16例,両側interfascial dissection 18例,であった.温存群と非温存群とで,周術期パラメータ,断端陽性率(%PSM),術後成績(術後尿禁制率,生化学的非再発生存率)を比較し,あわせて術前性機能を有した温存群症例の術後性機能回復率を調査した.<br> 【結果】平均手術時間は,温存群278分,非温存群236分で,温存群において有意に長かった.病理学的病期pT2における%PSMは温存群16.1%,非温存群7.4%で,温存群において有意に高率であった.温存群におけるPPF剥離ラインの相違による%PSM比較は,intrafascial dissection側16.7%,interfascial dissection側7.7%で有意差を認めなかった.術後3ヶ月における尿禁制率は温存群88%,非温存群44%で,有意に温存群で早期尿禁制回復を認めた.温存群中術前性機能を有した21症例の術後1年における勃起率は57.1%であった.術後2年における生化学的非再発生存率は,温存群85.6%,非温存群95.7%で,有意差を認めなかった(P = 0.164).<br> 【結語】われわれが経験,検討した両側神経温存術式は術後の早期尿禁制回復に有用であったが,病理学的病期pT2症例の%PSMを低減させるために,さらなる技術研鑽と適応の再検討とが必要であると考えた.

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