ハーバード大学医学部心身医学研究所の行動医学的ストレスマネージメントプログラムに参加する身体不定愁訴患者の臨床的特徴

  • 中尾 睦宏
    帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座 ハーバード大学医学部心身医学研究所
  • 久保木 富房
    東京大学医学部心療内科

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical Features of Outpatients Attending a Medical Symptom Reduction Program at the Mind/Body Medicine Clinic, Harvard Medical School
  • ハーバード大学医学部心身医学研究所の行動医学的ストレスマネージメントプログラムに参加する身体不定愁訴患者の臨床的特徴 : 東京大学医学部心療内科外来データベースとの比較
  • ハーバード ダイガク イガクブ シンシン イガク ケンキュウジョ ノ コウドウ イガクテキ ストレスマネージメントプログラム ニ サンカ スル シンタイ フテイ シュウソ カンジャ ノ リンショウテキ トクチョウ : トウキョウ ダイガク イガクブシンリョウナイカ ガイライ データベース ト ノ ヒカク
  • A Comparison Study of Outpatient Database with the Department of Psychosomatic Medicine, School of Medicine, the University of Tokyo
  • 東京大学医学部心療内科外来データベースとの比較

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説明

ハーバード大学医学部心身医学研究所のMedical Symptom Reduction Program (以下、本プログラム) に参加する身体不定愁訴患者の臨床的特徴を明らかにするため、主要身体症状の有無と年齢、性別、心理社会的ストレス、気分状態との関連を調べた。<br>1994-98年の間に本プログラムに参加した971人の初診患者を対象とした。すべての患者は身体不定愁訴を訴えて医師からの紹介状をもって受診した。日本の心療内科との患者属性を比較するため、同期間に東京大学医学部心療内科外来を受診した1,280人の初診患者の年齢、性別、教育歴、雇用状態、紹介元、身体症状数、ICD-10診断名を対比した。本プログラムの参加者はMedical Symptom Checklist, Symptom Checklist-90R (SCL-90R), Self-rated Stress Perception Scale, Health Promoting Lifestyleの自記入式質問紙を初診時に回答し、身体症状 (疲労、不眠、頭痛、腰痛など主要16症状)、心理社会的ストレスの自覚度、気分状態 (不安、うつ、敵意) の評価を受けた。各症状が有る群と無い群の間で、性別、心理社会的ストレス度、SCL-90R不安・うつ・敵意の得点の差異を調べた (Studentのt検定またはカイ2乗検定)。<br>対象患者は日本の患者に比べて平均年齢が高く (43歳)、女性が多く (75%)、内科医からの紹介が多く (67%)、身体症状数は少ない (1つ以下22%) 特徴があった (いずれもp<0.05)。身体症状の有訴率は14% (耳鳴り) から64% (疲労) までの範囲であった。16の身体症状中5症状において女性の方が男性より訴える割合が高く、7症状において高ストレスを感じている者の方がそうでない者より訴える割合が高かった (いずれもp<0.05)。また不安 (12/16症状)、うつ (15/16症状)、敵意 (11/16症状) それぞれのSCL-90R得点が、身体症状がある群の方が症状の無い群に比べて高得点を示した (いずれもp<0.05)。<br>身体不定愁訴をもち行動医学的な治療を求める患者の身体症状は、心理社会的ストレス度や気分状態と密接な関連があった。治療においては身体症状のみに注目するのでなく、患者のストレスや心理状態に配慮した心身両面からのアプローチが大切なことが改めて示唆された。

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被引用文献 (1)*注記

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