放射線治療 Brachytherapy(小線源療法)

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  • ホウシャセン チリョウ Brachytherapy(ショウセン ゲン リョウホウ)

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抄録

ヨウ素125シード線源永久挿入密封小線源療法(シード治療)が日本で開始されて12年が経過するが,各施設からこの治療の有効性と安全性を示したデータが報告されている.現在までに全国117の施設で治療が実施されたが,最近は症例数の多い施設と少ない施設が明確に分かれており,センター化の傾向にある.シード治療は低リスク症例のみならず,中間リスクや高リスク症例に対しても外照射や一定期間のホルモン療法と併用することで高い治療効果が得られることが国内外で示され,本治療の適応範囲を広げる施設が増えている.東京医療センターでは現在まで2,500例を超す治療を経験しており,そこでの長期成績において(n=1,036,経過観察中央値6.8年),全生存率は5年96.7%,10年89.8%,疾患特異的生存率は5年99.8%,10年99.5%,生化学的非再発生存率は5年95.4%,10年90.7%であった.また,リスク分類別(NCCNガイドラインの分類)の生化学的非再発生存率は,5年と10年でそれぞれ低リスクが98.9%と98.2%,中間リスクが94.7%と87.8%,高リスクが86.9%と78.6%であった.限局性前立腺癌の根治療法として一般的な前立腺全摘術(RRP), 外照射療法(EBRT),シード治療の治療に関わる生活の質(QOL)の変化をEPICにより解析すると,RRPでは尿失禁,性機能低下のためにQOLが低下し,EBRTでは晩期の直腸出血のために低下している.シード治療では治療直後の排尿刺激症状により一時的にQOLが低下するものの,3つの治療の中ではQOLが最も保たれやすい治療であった.

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