序文

DOI

抄録

<p>泌尿器腫瘍におけるリンパ節郭清</p><p> 泌尿器科腫瘍における外科的治療は最も重要な治療手段であることは当然であるが,リンパ節郭清の意義についても近年,郭清による生存率向上の報告が多くなっている.</p><p> 泌尿器科領域でリンパ節郭清が最も早くから行われているのは精巣腫瘍に対する後腹膜リンパ節郭清である.ステージの進行した症例では後腹膜リンパ節郭清がガイドラインでも記載されるルーチンな手技となっている.手術適応,手術手技なども確立させておりこれらのリンパ節郭清については疑問の余地はない.</p><p> また,従来から,膀胱がんに対するリンパ節郭清は非常に治療効果が高いことが証明されており膀胱全摘出術に際してリンパ節郭清は通常治療として行われてきていた.しかしながら同じ尿路上皮腫瘍でも腎盂・尿管腫瘍では大血管周囲のリンパ節郭清の有用性についてはほとんど報告されず行われていなかった.近年,近藤らによりリンパ節郭清が生存率を向上させる可能性があることが報告されて以来,リンパ節郭清の意義が議論されるようになっている.</p><p> 前立腺がんについては現在,ハイリスク症例を対象に拡大骨盤内リンパ節郭清が行われるようになっている.現時点ではいまだその治療効果に対するコンセンサスは得られていないが,今後研究の進展によりその意義も明白となってくるものと思われる.</p><p> 近年のロボット手術の導入により骨盤内リンパ節郭清はより容易に,かつ安全,確実に行うことが可能となっている.ロボット支援下膀胱全摘出,前立腺全摘出術ではロボットによるリンパ節郭清がルーチンとなっており今後腎盂尿管腫瘍に対してもロボットの使用が行われる可能性が大きくなっている.</p><p> このように泌尿器科領域のリンパ節郭清はその適応,ロボット手術への移行などさらなる発展が期待されている.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680490041728
  • NII論文ID
    130006943333
  • DOI
    10.11302/jsejje.30.1
  • ISSN
    21874700
    21861889
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ