就学前自閉症児の洗口能力と発達年齢の関連性

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タイトル別名
  • Relationship between Mouth Rinsing Ability and Developmental Age in Autistic Preschool Children

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抄録

齲蝕予防のためのフッ化物応用において洗口能力は重要であるが,就学前の自閉症児では洗口の習得に遅れが認められる。そこで,自閉症児の洗口の習得に対する準備状態を知ることを目的に,早期療育施設に通う3~6 歳の自閉症児58 名を「洗口可能群」と「洗口不可能群」に分類し,暦年齢および発達年齢との関連について調査した。さらに,洗口能力の有無を最も識別する発達年齢のカットオフ値を検討した。その結果,以下が明らかになった。1 .「洗口可能群」は43 名(74.1%)であった。2 .暦年齢は,「洗口可能群」と「洗口不可能群」の間で統計学的に有意差を認めなかった。3 .発達年齢は,「洗口可能群」が「洗口不可能群」に比べ全ての発達領域において統計学的に有意に高い年齢を示した。4 .洗口能力の有無を識別するのに有効な発達年齢のカットオフ値は,「手の運動」2 歳3 か月,「基本的習慣」2 歳4.5 か月,「発語」1 歳4 か月,「言語理解」1 歳5 か月,「全領域」2 歳0 か月であった。5 .洗口能力の有無の識別に最も有効な発達領域は「発語」で,的中率75.9%,オッズ比9.1 であった。本研究の結果から,就学前自閉症児における洗口について,一定程度の言語発達と個々の発達バランスを考慮すれば無理のない洗口指導が可能であることが示唆された。

収録刊行物

  • 小児歯科学雑誌

    小児歯科学雑誌 51 (3), 390-395, 2013

    一般財団法人 日本小児歯科学会

参考文献 (37)*注記

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