摂食・嚥下フローチャート作成の試み

  • 庄司 浩孝
    茨城県厚生連総合病院 取手協同病院 リハビリテーションセンター
  • 山本 泰三
    茨城県厚生連総合病院 取手協同病院 リハビリテーションセンター
  • 岩澤 愛
    茨城県厚生連総合病院 取手協同病院 リハビリテーションセンター
  • 井上 朋子
    茨城県厚生連総合病院 取手協同病院 リハビリテーションセンター
  • 老川 千鶴
    茨城県厚生連総合病院 取手協同病院 リハビリテーションセンター
  • 新谷 周三
    茨城県厚生連総合病院 取手協同病院 リハビリテーション科
  • 日野 太郎
    茨城県厚生連総合病院 取手協同病院 リハビリテーション科

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【はじめに】 <BR>誤嚥性肺炎やムセに対して反復唾液テスト(RSST)、改訂水飲みテスト(MWST)、フードテスト(FT)を行い、誤嚥が疑われた症例に嚥下造影検査(VF)を行っている。スクリーニングで誤嚥が疑われた症例がVFで誤嚥しているのか、その関連性について検討した。そして検討結果から摂食・嚥下フローチャートを作成した。 <BR>【対象】 <BR>RSST、MWST、FTを施行した患者16名で平均年齢は79.9歳(49~94歳)であった。原疾患は脳血管疾患2例、進行性神経疾患2例、肺炎8例、呼吸器疾患1例、心疾患1例、消化器疾患2例であった。スクリーニングの結果とVFでの誤嚥の有無について検討した。 <BR>【結果】 <BR>(1)カットオフ値未満の症例について RSSTカットオフ値(3回/30秒)未満の症例は14例で6例が誤嚥していた。MWSTカットオフ値(4点)未満の症例は13例で6例が誤嚥していた。FTカットオフ値(4点)未満の症例は6例で3例が誤嚥していた。 <BR>(2)誤嚥の有無について VFの結果、16例中7例が誤嚥していた。不顕性誤嚥が7例中2例であった。16例中12例に食塊移送不全、6例に早期咽頭流入、13例に喉頭挙上開始遅延、16例全例に咽頭残留がみられた。 <BR>(3)3つのスクリーニング検査間と誤嚥の関連 RSST・MWST・FTをクリアした症例及び、RSSTとMWSTをクリアした症例はなかった。RSSTとFTをクリアした症例は1例でVFにて誤嚥はなかった。MWSTとFTをクリアした症例が3例あり、2例がVFにて誤嚥はなかった。 <BR>【結果からみられた傾向】 <BR>RSSTは,他の検査に比べ誤嚥の検出に適さなかった。 金子らはRSSTの特異度は0.52~0.66であり、健常高齢者でも3回/30秒以上を達成できない例が稀ではないため、RSSTが極めて優れた嚥下障害の評価法とは結論できないとしている。今回も同様の傾向がみられ、食品を使う検査の方が誤嚥の検出には適していると考えられた。MWSTやFTを用いたフローチャートを作成し、その有効性の検討が必要と思われた。 <BR>【フローチャートの作成】 <BR>リハビリスタッフが中心となりフローチャートの作成を行った。その概要を以下に述べる。 <BR>1. 最初にMWSTを施行する。カットオフ値(4点)以上で、次にFTを施行する。カットオフ値未満ならば、(1)嚥下に意識を集中(2)頸部前屈位(3)水を口の中に溜めて息を止めてから飲むように指示し、再度行う。2回目に施行したMWSTがカットオフ値以上ならば次にFTを行うが、カットオフ値未満ならば、検査を打ち切りリハビリ科へ依頼する。 <BR>2. FTがカットオフ値以上ならば嚥下食から開始し、段階的摂食訓練を行っていく。カットオフ値未満ならばMWSTと同様に条件を整え、再度行う。2回目のFTがカットオフ値以上ならば、段階的摂食訓練を開始し、カットオフ値未満ならば、リハビリ科へ依頼する。 <BR>3. 段階的摂食訓練中、発熱やムセ、呼吸状態の悪化等がみられた場合はリハビリ科へ依頼する。 本フローチャートは、MWSTとFTを最大で2回ずつ行う。条件設定により嚥下が可能となるかを試すのが目的である。 <BR>【まとめ】 <BR>食品を使うMWSTとFTの方が誤嚥の検出には適していると考えられ、この2つを中心としたフローチャートを作成した。今後は本フローチャートを活用し、その有効性を検討していくことが課題である。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680493998208
  • NII Article ID
    130006943887
  • DOI
    10.14879/nnigss.57.0.104.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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