eGFR (推定糸球体濾過量)の有用性
Description
<はじめに>2007年9月日本腎臓学会より出された慢性腎臓病(以下CKDと略す)診療ガイドから日本人係数を使った推定GFR(以下eGFRと略す)が慢性腎臓病対策の取り組みとして提唱された。 eGFR(mL/min/1.73m2) =0.741×175×年齢0.203×血清Cre-1.154(女性は×0.742) 当院臨床検査部では2007年5月より血清クレアチニンを測定したすべての患者について、eGFRを報告している。今回eGFRの有用性を検討するために、24時間クレアチニンクリアランス(以下24hCcrと略す)を実施した患者における24hCcrとの相関や、患者及び健診受診者における年齢との相関、クレアチニン値が基準範囲にあるときのeGFRを、過去4年間について調査検討したので報告する。 <BR><方法>2004年1月から2007年12月までに24hCcrを行った患者3,128名に対してeGFRを計算し、24hCcrとの相関および年別ごと男女別に年齢との相関関係を検討した。また2004年1月から2007年12月までに当院健康管理センターを受診した対象者8,255名(男性3,660名、女性4,295名)に対してeGFRを計算し、年別ごと男女別に年齢との相関関係を検討した。さらに2004年1月から2007年12月までに血清クレアチニンが基準範囲にある患者および健診受診者についてeGFRが正常範囲から外れている割合がどの程度出現するかを検討した。 <BR><結果>24hCcrとの相関は、2004年から2007年まで相関係数rは0.84から0.88と良好な相関を示した。(図-1) 次に患者、健診受診者ともeGFRと年齢との関係は、負の相関を認めた。 <BR>血清クレアチニンの基準値を女性の場合は1.0mg/dl以下、男性は1.2mg/dl以下、eGFRの正常値をCKDの診断基準である60mL/min/1.73m2以上とし患者群及び健診受診者群についてeGFRをみると、2004年健診女性群が5.7%、健診男性群が8.0%の低下を認めた。これに対し患者女性群は38.6%、患者男性群が41.3%低下を認め、血清クレアチニン値が基準範囲にあっても何らかの疾患があると腎機能が低下することが示唆され、他の年別も同様な結果であった。 <BR><考察>今回行った検討でeGFRは、24hCcrと良い相関を示すことから、蓄尿を行うことが難しい患者にも有効であり、また血清クレアチニンが基準範囲にあってもeGFRを計算することで、CKD重症度分類3期以上の患者がいることが確認できた。よってeGFRは計算式で慢性腎臓病を早期に見つけることができる指標になりえると思われ、今後他科においても積極的に利用すべきであると考えられた。
Journal
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- Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu
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Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu 57 (0), 142-142, 2008
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680494055680
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- NII Article ID
- 130006943953
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- ISSN
- 18801730
- 18801749
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed