術中における動脈圧ライン固定具の試み

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抄録

(緒言)手術台の手台は幅が15cmと狭いため、術中は患者の手が落ちないように紐状の抑制帯を使用している。だが術中の体位によっては抑制帯を使用していても手台より手がずり落ちたり、麻酔覚醒時には体動が激しい時もあり、患者の手の落下やライン抜去の危険性があった。この際、動脈圧ラインの保護の方法の1つとして、ギプスで既に型どられた物をテープ等で固定していた。この方法では、狭い手台の上では安定性がなく患者個々の体に合ったものでないため危険であったと思われる。安全で効果的な動脈圧ラインの固定具を独自で作成、試みた。<BR>(研究方法・対象)年齢、術式、手術時間、性別等関係ない適応患者6名。研究者が考案した固定具を使用して、観察チェック表を用いて担当したスタッフが評価。<BR>評価内容:固定具の硬さ固定帯について、安全性・利便性、素材、患者への影響、動脈圧への影響、固定方法、体動時の効果、感想・問題点の記載<BR>固定具の大きさ:幅15cm、長さ60cm、固定帯は手掌、肘部の2本、素材はフリース、良肢位保持のため芯に金網を使用<BR>(考察ならびに結果)手術室における抑制とは、病棟での抑制とは目的が異なる部分もある。手術台の幅も身体の幅に十何cmかの余裕がある程度である。術式により時には上体をファーラー位や、手術台ごと左右へ傾ける事もあるため、手術室での抑制は転落防止が一番の目的になる。今回、体格、年齢、性別、手術時間、患者の条件に問わず研究を行なった。固定具自体、安全性・利便性、素材、患者への影響ともに評価は「良い」という結果が得られた。意見としては「女性や小柄な男性には固定帯の位置や長さ、大きさは適さないのでは。」や、「麻酔覚醒時に手が動いてしまい、固定具より手先が抜けてしまいそうだった。」などの意見が得られた。どの体格の患者でも使用可能との意図で大きさの設定は、当手術室中肉中背の男性スタッフを基準に作成したため、体格の差がある患者には上記の意見が出たと思われる。安全性・利便性の面ではシーネの機能と抑制帯とが一体となった形と、固定方法もマジックテープによりワンタッチで行える方法が良い評価を得た。素材、患者・圧ラインへの影響は無回答もあったが「問題なし」という結果を得た。中には手術時間7時間30分という対象もあったが、影響がなかったのは素材の選択が適していたとも評価できる。<BR>(おわりに)効率よく安全で圧ラインの波形を正常に保つ固定方法はないかと思い考えたのが、今回考案し試作した固定具であった。結果は総合してよい評価を得た。だが、大きさやバンドの位置は適さない患者もおり検討の必要性がある。安全、効果的に活用していけるように更なる改良を重ねていかねばならない。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680494124544
  • NII論文ID
    130006944036
  • DOI
    10.14879/nnigss.54.0.173.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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