歯肉線維腫症2症例の長期経過観察

  • 小林 奈未子
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 口腔機能再構築学系口腔機能発育学講座小児科学分野
  • 藤田 晴子
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 口腔機能再構築学系口腔機能発育学講座小児科学分野
  • 菊地 恭子
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 口腔機能再構築学系口腔機能発育学講座小児科学分野
  • 石川 雅章
    東京医科歯科大学歯学部

書誌事項

タイトル別名
  • Long Term Follow-up of Two Cases of Gingival Fibromatosis

この論文をさがす

説明

当院小児歯科外来において,家族性歯肉線維腫症,特発性歯肉線維腫症と診断された2 症例の長期経過を報告した。症例1 は2 歳10 か月の男児で歯肉腫脹を主訴に来院した。家族歴として父親と祖母(父方)にも同様の症状が認められた。口腔内所見において歯肉の増殖は著しく,歯冠は切縁や咬頭の一部のみ確認できる程度であった。病理所見では,線維芽細胞の増生はみられず,密な膠原線維の増生と軽度の炎症性細胞浸潤が認められた。本症例1 を家族性歯肉線維腫症と診断した。症例2 は10 歳0 か月の女児で症例1 と同様に歯肉腫脹を主訴に来院した。家族歴はなく口腔内所見での歯肉増殖は歯冠の1/2 から2/3 を覆う程度であった。本症例2 を特発性歯肉線維腫症と診断した。処置は複数回に分けて歯肉切除術を行い,定期的に口腔衛生指導を行った。2 症例ともに部分的に歯肉増殖の再発が認められ,再切除を行った。その後,患児のプラークコントロール技術が向上するとともに良好な予後が得られた。本疾患について長期的な口腔衛生管理が重要なことが再確認できた。

収録刊行物

  • 小児歯科学雑誌

    小児歯科学雑誌 52 (1), 103-109, 2014

    一般財団法人 日本小児歯科学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ