当院における針刺し・切創事故の傾向と今後の課題

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平成19年度針刺し切創事故の傾向と今後の課題                       ○佐藤真理子 高橋由希子 近藤奈津子                        山田すみえ 五十嵐領香 林 久美子 【はじめに】過去4年間の針刺し切創事故の分析結果、1.毎年4月~6月における新人看護師の針刺し切創事故が多い。2.医師・研修医・外来看護師・看護助手の受傷が増加傾向にある。3.安全装置付き器材を導入後も翼状針による受傷がある。4.安全器材を導入していない部署の受傷が多いことが明らかになった。リキャップ禁止や手袋着用が定着していない問題が明確になり、対策を講じたところ針刺し切創事故が減少したので報告する。 【方法】1.新入職員対象の感染セミナーで安全装置付き針操作の動画を使用。2.安全装置付き翼状針の使用方法を指導。3.透析室に安全機能付き針導入。4.外来・処置室の実態調査実施、対応策を検討。5.医師・研修医に、針刺し切創事故の報告と対策について報告書を作成。6.エピネット報告の分析。 【結果】1.新人看護師受傷率は21.8%に減少。受傷は4月から6月に集中。2.翼状針の受傷3件。3.静脈留置針の受傷2件で安全機能付きでなかった(導入していない部署)。4.外来看護師の受傷3件、看護助手の受傷0件。外来での針捨てボックスの設置場所が不適切で、ゴミ分別表示がされていない科が72%であった。5.医師・研修医の受傷5.6%減少、内訳は縫合針30%。6.原因器材は使い捨て注射針36%。アンプルカット25%。縫合針9%、翼状針、静脈留置針が各々7%。手袋着用率は25%。 【考察】全体の受傷の約半数を新人が占めており4月、6月の受傷が多いため入職時の指導及び継続的な指導が必要である。毎年新入職員対象の感染セミナーを実施する5月は受傷件数が減少するが、6月再び件数が上昇することから継続した指導が必要である。今後、針刺し切創防止に関する新人教育プログラムを作成・教育 することで受傷防止になると考える。安全装置付き翼状針導入後も、正しい操作方法ができず受傷しているケースがあり、動画の使用によって操作方法を理解しても、実践にはトレーニングが必要であり今後も正しい操作方法の実践ができるような働きかけが必要である。外来・処置室実態調査後、調査結果を外来リンクナースにフィードバックすることで、部署での問題点が明確になり、改善へとつながった。医師・研修医の受傷原因30%が縫合針による受傷であり、介助者による受傷も多く、器材の受け渡し時に受傷していることから手術中のハンズフリーテクニックの検討や術者・介助者・看護師間で声がけしていくことで事故を回避できるのではないかと考える。医師に対する報告は、年1回の院内感染セミナーでの活動報告だけであり、事故の現状を報告する機会が少なかったため、今後5年間の医師・研修医の受傷件数を報告する予定である。リキャップによる受傷が減少していない現状から、今後も使用済み針へのリキャップ禁止の徹底を継続していくことが必要。アンプルカット時、酒精綿を使用しても受傷しており、アンプルカッターや手袋着用を推奨し啓発が必要。手袋着用率は低く、現状を把握し対策を講じていく必要がある。 【結論】1.新人教育プログラムを作成・活用し新人の針刺し切創事故防止に努める。2.安全装置付き針の正しい作動方法の指導と実践。3.医師・研修医に針刺し切創事故の現状を報告し、事故防止に繋げる。4.リキャップ禁止、アンプルカット方法を継続し指導。5.手袋着用の現状を把握し対策を講じていく。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680494337152
  • NII論文ID
    130006944224
  • DOI
    10.14879/nnigss.57.0.210.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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