誤薬防止にむけた与薬カート導入後の看護師の意識調査
説明
誤薬防止にむけた与薬カート導入後の看護師の意識調査<BR> 市村小百合(幸手総合病院 医療安全対策部会) 藤田敬子 藤田朋子 山本利子 渡辺一美 江原利江 籠宮幸恵 秋元恵子<BR> 医療安全・与薬カート・誤薬防止<BR> 〈緒言〉<BR>与薬業務における看護師の役割は医師が処方した薬を指示通り確実に内服させ、その前後の観察を行うことであり、与薬業務の最終段階を担っているといえる。当院ではH17年12月より誤薬防止を目的に薬剤部と連携し、処方された薬を薬剤師が与薬カートにセットし、看護師が与薬するという与薬カートシステムを導入した。1年半経過した現在、与薬カートシステムによる誤薬防止に対する看護師の意識を調査したので報告する。<BR>〈方法〉<BR> H19年3月に与薬カートを使用している病棟の看護師61名に質問紙調査を実施。回収箱にて回収した。質問紙は5段階評価とし独自に作成した。<BR>〈倫理的配慮〉<BR>研究の主旨、目的、意義、倫理的配慮を書面にて説明依頼を行った。協力は自由意志による事、辞退しても不利益はないことを伝え、調査票の回収をもって承諾とした。<BR>〈結果〉<BR>61名中50名から回答が得られた(回収率82%)。<BR>1 薬について 「予薬方法が分かりやすい」62%、「薬の作用・副作用を気にするようになった」56%、「薬に対する関心が高まった」64%が「そう思う」「どちらかというとそう思う」と回答した。<BR>2 与薬について 肯定的に評価した者の割合は、「サインをする事で与薬者が分かりやすい」90%、与薬する事に「責任感が高まった」83%、「与薬漏れが分かりやすい」80%、と高かった。一方、「処方切れの薬が良くわかる」46%、「与薬ミスが少なくなった」52%と、肯定的に評価したもの割合が低く、「与薬ミスが少なくなっている」では、「どちらでもない」と38%のものが回答している。<BR>3 薬剤部との連携について「退院時の服薬指導は確実に行われているか」62%の回答が得られたが、「薬について薬剤部に聞きやすくなったか」28%と低い回答であった。<BR>〈考察〉<BR>与薬カートを導入したことで、薬剤師がカートに薬をセットし、看護師が与薬前に確認し患者に与薬する事は、薬剤師と看護師による薬の二重チェックになっていると考えられる。薬剤師のチェックにより処方切れが事前に把握でき、薬剤師と看護師が共に内服の確認を行うことで、与薬漏れが把握できた。また、内服確認後に看護師がサインをすることにより責任の所在を明らかにし、看護師の与薬に対する責任感が高まったと考えられる。与薬時のサインは確実におこなわれており、このことからも、与薬カートの導入で看護師の薬に対する責任感と誤薬防止の意識づけにつながったものと考える。<BR>しかし、「与薬ミスは少なくなっている」の項目で、38%の看護師が「どちらでもない」と回答していることは、今までの与薬ミスのデータがなく示す事が出来なかったことと、誤薬防止という本来の目的についての認識が乏しいためと考える。その原因として、看護管理者及び医療安全対策部会が十分な役割を果たしていなかった為、与薬カートについての導入目的が確実にスタッフに理解されていなかったものと考える。<BR>今後の課題として、誤薬防止に対する看護師の意識をさらに高める為に、医療安全対策部会を中心に、看護部・薬剤部との連携を図り情報の共有化を行い、与薬カートシステムマニュアルの更なる運用の改善と遵守の必要性が得られた。
収録刊行物
-
- 日本農村医学会学術総会抄録集
-
日本農村医学会学術総会抄録集 57 (0), 207-207, 2008
一般社団法人 日本農村医学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282680494348032
-
- NII論文ID
- 130006944244
-
- ISSN
- 18801730
- 18801749
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可