癌化学療法における口内炎に対するカテキンアイスボールの効果

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  • -化学療法施行中のカテキン群・対照群の比較検討-

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説明

I.はじめに<BR> 癌化学療法の副作用の一つとして、口内炎が挙げられる。口内炎を予防することは、患者の苦痛を和らげ、QOLの向上を図ることとなる。<BR>抗癌剤による口内炎の発生機序は、薬剤の直接作用により口腔粘膜にフリーラジカルが発生し組織破壊、炎症が起こり発生するものと、白血球減少に伴う感染によるものがある。カテキンは、フリーラジカルを防止する抗酸化作用、除菌作用の効果が報告されている。そのためカテキンアイスボール(以下カテキンボールとする)は、口腔内のフリーラジカルの除去、除菌の効果が期待できる。以上のことから、カテキンボールは口内炎予防に効果があると考え、カテキン群、対照群の比較検討した結果をここに報告する。<BR>II.研究目的<BR> カテキンボールが口内炎予防に効果があるか明らかにする。<BR>III.研究方法<BR>1.研究期間<BR>  平成16年4月1日から11月30日<BR>2.研究対象<BR>入院中の化学療法施行患者38名<BR>カテキンボール使用者をカテキン群、未使用者を対照群とした。<BR>3.研究方法<BR>準実験的調査研究<BR>4.データーの収集方法<BR>1)使用したカテキンボール:テアフラン30A 0.1%溶液を使用。(エピガロカテキンガレート14%含有)<BR>2)カテキンボール使用時期は抗癌剤使用当日から抗癌剤終了後1週間。<BR>3)実施時間は、抗癌剤使用当日は使用時間に合わせて1日3回施行。翌日からは10時、14時、19時の3回施行。<BR>4)市販の製氷機にてカテキンボールを作製。<BR>5.データー分析方法<BR>カテキン群、対照群の口内炎発現率を、マン・ホイットニー検定にて検証した。<BR>6.論理的配慮<BR>研究の意図を説明し、プライバシーを守ることを伝え承諾を得た。<BR>IV.結果<BR> カテキン群20名中、途中中断者7名。対照群18名。<BR>カテキンボール使用での口内炎発現率は、マン・ホイットニー検定を行ない、P<0.01にて有意差があった。<BR>V.考察<BR> 今回使用したテアフラン30Aはカテキンの中で最も抗酸化作用・除菌作用にすぐれたエピガロカテキンガレートが含まれている。カテキンのそれらの作用を期待し、テアフラン30Aを使用した結果、カテキン群、対照群の口内炎発現率に有意差があった。これは、当病棟で使用したカテキンボールが、口内炎予防策として有効であったと言える。<BR>さらに、カテキンボールを選択した事で、口腔内に留まる時間が延長できるとともに、全体に行き渡らせることができた。そのことがカテキンの作用をより持続できたのではないかと考えられ、口内炎発現を押さえることに有効であったと考える。<BR>VI.結論<BR> カテキンボールは口内炎予防に有効である。<BR> 参考文献<BR>1)平野小百合、他:カテキン吸入療法によるMRSA除菌効果の検討、日病薬誌,38(4)、2002<BR>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680494391296
  • NII論文ID
    130006944305
  • DOI
    10.14879/nnigss.54.0.181.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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