体位変換を全日4時間毎とした場合の有効性の検討

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_I_.はじめに  私たちの働く脳神経外科・神経内科病棟では、脳血管障害などによる重度の麻痺や意識障害による寝たきりで、ADLに介助を要する患者が多い。褥瘡の発生リスクが高い患者も多く、その予防は重要な業務の一つである。これまで、褥瘡予防には2時間体位変換が必須とされてきた。それはある一定の圧力が2時間皮膚に加わると組織損傷の兆候が現れると報告されているからである。しかし、在宅に帰るケースでは介護負担が多く、2時間毎での体位変換は実際難しい。今回は当病棟における日勤業務の改善の一つとして4時間体位変換を行い、その有効性と限界について検討した。 _II_.研究方法 研究期間:平成18年8月1日~10月31日。研究対象:当院7階東病棟入院中の体位変換(3:00、7:00、11:00、15:00、19:00、23:00)が必要な患者で褥瘡の持ち込み患者は含めないとした。研究方法:_丸1_大浦式スケールとブレーデンスケールの両者を使用しマットの選択をする_丸2_チェックリストを作成し、研究終了後にチェックリストを見直す_丸3_検査データ(血清総蛋白、アルブミン、ヘモグロビン、亜鉛)を検討する_丸4_対照として、平成16年8月1日~10月31日の入院患者(3:00、6:00、9:00、11:00、14:00、16:00、20:00、23:30に体位変換をしていた患者)について褥瘡発生率を検討した。 _III_.結果 平成16年8月1日~10月31日までの体位変換必要患者は56名で、褥瘡発生は6名であった。一方、今回の研究期間中に体位変換必要患者は70名で、褥瘡発生者は5名であった。全体として、血清総蛋白、アルブミン、ヘモグロビン、亜鉛には一定の傾向はなく、5名では、褥瘡発生部位に局所的なストレスがかかっていた。 _IV_.考察 日勤帯の体位変換を4回行っていた時の褥瘡発生率は10.7%、2回とした時には7.1%で、体位変換を減らしても褥瘡の発生は増えておらず、むしろ低下した。日勤業務に余裕が生じ、患者の観察が十分に行えたことがよい結果をもたらしたと考えられる。血液データでは褥瘡発生者の特徴を見つけることが出来なかった。また、入院時ブレーデンスケールでは、褥瘡発生者の方が点数が高い場合があった。褥瘡発生患者の共通点は、発生部位にそれぞれ大きなストレスがかかっていた。ブレーデンスケールで患者の全体像は把握できるが、局所的な褥瘡発生に関しては個々の患者で局所的な圧迫を生じないように注意することが重要と考えられる。マットを的確に選択することはもちろんであるが患者の状態を的確にアセスメントし、ストレスがかかっているところに適切なスキンケアを行っていれば4時間体位変換でも褥瘡は予防できると考える。 _V_.結論 1. 今回の結果から患者の状態を的確にアセスメントし、体圧分散マットを選択しスキンケアを十分に行えば4時間体位変換は十分有効であることが実証された。 2. アセスメントにより褥瘡リスクの低いと思われる患者でも、症例によっては局所的なストレスに注意する必要がある。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680494435200
  • NII Article ID
    130006944357
  • DOI
    10.14879/nnigss.56.0.225.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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