院内研修後の受講者の行動化に向けた仕組み

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  • ~具体的行動計画の立案と定期的評価・面談による効果~

抄録

〈緒言〉個人の能力開発と専門職業人としての成長を図り、質の高い看護サービスを提供することを目的に卒後年次毎の研修を行っている。研修後の課題達成には現場での継続した支援が必要であると考え、数年前より具体的行動計画の立案と定期的評価・面談を取り入れた。改定を繰り返し、仕組みを確立したものの、これにより受講者が行動化できているかを明らかにしたいと考え、評価表をもとに調査・検討したので報告する。<BR>〈方法〉1.期間:2007年4月から12月。2.対象:3ヵ月後評価を終えた5研修の受講者。3.方法 1)本仕組み(1)研修受講2週間以内に研修3ヵ月後(研修14週後)の目標と具体策を立案。(2)研修6週後・10週後・14週後は具体策毎の自己及び支援者による他者評価を行った後、面談を行い、評価を最終決定。具体策の平均点を目標に対する評価とした。2)評価表は統一したものを使用し、評価は4段階に点数化(4:できる,3:半分できる,2:あまりできない,1:できない)した。<BR>4.分析方法:研修毎の6週・10週後間、10週・14週後間の平均値の差をt検定した。Excel統計ソフトを使用しP<0.05を有意差ありとした。5.倫理的配慮:評価表を研究データに使用すること、個人を特定できないよう処理しプライバシーを保護することを説明し同意を得た。<BR>〈結果〉1.受講者は88名で有効評価は82名。2.受講者が立案した具体策数と標準偏差(SD)は8.37(SD=5.44)。3.検定結果1)卒後1年目研修a:6週・10週後間はP=5.09E-07<0.05で有意差あり。10週・14週後間はP=6.54E-07<0.05で有意差あり。2)卒後1年目研修b:6週・10週後間はP=1.36E-8<0.05で有意差あり。10週・14週後間はP=9.48E―08<0.05で有意差あり。3)卒後5年目研修:6週・10週後間はP=0.0015<0.05で有意差あり。10週・14週後間はP=0.001<0.05で有意差あり。4)卒後5年目以降研修:研修6週・10週後間はP=0.3835>0.05で有意差なし。10週・14週後間はP=6.38E-05<0.05で有意差あり。5)准看護師研修:6週・10週後間はP=0.0027<0.05で有意差あり。10週・14週後間はP=0.0119<0.05で有意差あり。<BR>〈考察〉具体策数は平均8.37立案されており、研修後の具体的行動を明確にするといった目標志向に近づいているといえよう。森らは「やる気の持続期間は年齢による差はなく、どの年代もおおむね1ヵ月という実態が把握できた」1)と述べている。我々が設定した4週間毎という評価期間は、やる気の持続期間とも一致している。やる気の低下する前に評価を繰り返したことが動機付けの強化となり、6週・10週後間では5研修のうち4研修で、10週・14週後間では全ての研修で評価が有意に上昇しており、行動化に繋がったと考える。また、評価時の面談を取り入れることによって周囲が定期的に支援していくことを仕組みの一部としたが、1つの研修で6週・10週後間に有意な上昇がなく、受講者のやる気の継続が困難であったことが示唆された。日常の積極的な介入が必要と考える。<BR>〈結論〉研修後、研修3ヵ月後の目標と具体策を立案し、4週毎に自己・他者評価と面談を行う仕組みは、受講者の課題達成に向けた行動化におおむね効果があった。<BR>〈引用文献〉1)森則子ほか:看護職の院内研修に関する実態調査,第21回看護学会論文集(看護管理),P215~217,1990.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680494472704
  • NII論文ID
    130006944411
  • DOI
    10.14879/nnigss.57.0.183.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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