インスリン製剤使用法に関する実態調査

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  • ペン型インスリン製剤の継続的な適正使用に向けて

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<目的> 当院ではインスリン自己注射導入時、基本的に入院し、看護師と薬剤師が協力して手技指導を行ない、血糖コントロールできた時点で退院となる。しかし、退院後のインスリン自己注射の手技が正しく継続して行われているか確認していなかったのが現状である。今回、外来薬局窓口において、患者より「カートリッジのゴム栓が膨らんで破裂したものがある」「カートリッジ部分が赤くなることがある」などの訴えがあった。また、医師からも、正確に手技のできていない患者がいるとの報告もあったため、手技に関する問題が浮上してきた。そのため、再度手技確認の必要があると考え、その実態を調査したので報告する。<BR><方法> 平成18年2月1日から平成18年3月31日の2か月間におけるペン型インスリン製剤を使用している患者のうち83名を面接方式により調査した。対象は特に使用数の多いノボリン、ノボラピット、ヒューマログ使用患者とした。指導・確認事項は製薬会社配布の患者指導用パンフレットを参考にして22項目を設定し、各項目において点数化して評価した。<BR><結果・考察> 正しい手技が行われていない主な項目は以下の通りであった。(カッコ内は正解の割合)<BR>○インスリン製剤の名前や種類を知っていますか(42.6%)<BR>○針を抜くときはボタンを押したまま抜いていますか(43.4%)<BR>○注射器の保管法を知っていますか(59.0%)<BR>○手を洗っていますか(67.5%)<BR>○注入ボタンを最後まで押したまま6秒以上待っていますか(70.5%)<BR>○濁った製剤の場合10回以上キットを転がし、ゆっくり上下に振っていますか(74.1%)<BR>○単位設定ダイアルを2単位に合わせ空打ちできていますか(77.7%)<BR> インスリン自己注射導入時には、手技指導している。しかし、今回の調査結果より、手技に関して正しく理解されていない項目がみられた。特に、“インスリン製剤の名前や種類を知っていますか”“薬剤を注入後、注射針を抜く際にボタンを押したまま抜いていますか”“注射器の保管方法を知っていますか”の項目について理解している割合は低かった。これらの項目は、重点的に指導するべき点として浮かび上がってきた。手技が正確に操作されていない場合、血糖コントロールを悪くする原因になり得る可能性がある。そのため、導入時のみならず定期的に手技の確認を行う必要性があることがわかった。<BR><まとめ> 今回の調査から、インスリン自己注射手技指導において、正確に出来ていない項目があった。これらの項目については今回の面談時に再指導を行った。<br> 今後、これらの情報を医師・看護師と共有し、インスリン自己注射手技の継続的な適正使用に向け、看護師と協力して定期的に手技の確認をしていきたい。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680494644224
  • NII Article ID
    130006944497
  • DOI
    10.14879/nnigss.55.0.309.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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