腰椎麻酔下での手術・検査前にアロマセラピーを使用して

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  • -緊張を和らげる援助-

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〈緒言〉腰椎麻酔の手術・検査を受ける患者から、「緊張してきた」と聞くことが多く、入室前の血圧・脈拍は上昇していることが多い。私たちは、緊張を緩和するための援助法としてアロマセラピーを用い、その有効性について調査した。<BR>用語の定義:緊張状態を、入院時と入室直後の血圧が20mmHg以上の上昇、または脈拍は40回以上の上昇とする。更に、前日と入室前に行ったSTAIの状態不安の質問紙を比較し、上昇があれば緊張状態とする。<BR>〈方法〉1.研究期間:H19年7月~11月。<BR>2.研究対象<BR>1)腰椎麻酔の手術・検査を受ける患者のうち以下の条件を満たす患者。<BR>(1)鼻に疾患がない。(2)前投薬がない。(3)腰椎麻酔下での手術・検査が3年以内に3回未満。<BR>2)対象患者のアロマセラピー使用の有無は無作為に分類した。<BR>3.研究方法<BR>1)入院時に血圧・脈拍を測定。<BR>2)前日にSTAI質問紙を自己記載。アロマ群は4種類から香りを選択。<BR>3)入室前にアロマオイルをつけたガーゼをポケットにいれる。<BR>4)入室前にSTAI質問紙を自己記載。<BR>5)入室直後、血圧・脈拍を測定。<BR>4.分析方法:アロマ群・非アロマ群の入院時の血圧・脈拍と、入室直後の血圧・脈拍をt検定した。アロマ群・非アロマ群の手術・検査前日と入室前にSTAI1)質問紙を使用しt検定した。また、アロマセラピーの使用の有無が患者の緊張状態に関連があるかをX2検定した。なお、統計学的有意水準はp<0.05を有意差ありとした。STAI質問項目は、項目毎に変化の有無を調べた。<BR>5.倫理的配慮:対象者には、自由意志で調査への参加が出来ることを説明し、同意を得た。<BR>〈結果〉対象患者は35名(アロマ群19名、非アロマ群16名)であった。入院時と入室直後の血圧・脈拍をt検定すると、有意差を認めなかった。また、前日と入室前に実施したSTAI質問紙の点数をt検定すると有意差を認めなかった。本研究での緊張状態を示した患者の割合は、血圧・脈拍共にX2検定で有意差を認めなかった。STAI質問紙の比較で緊張状態を示した患者は、アロマ群・非アロマ群でX2検定すると有意差を認め、STAI質問紙の点数と、アロマセラピー使用の有無に関連があった。STAI質問紙においてアロマ群は、点数が上昇した項目はなく、非アロマ群では4項目あった。<BR><考察>アロマ群・非アロマ群を比較すると、血圧・脈拍の上昇に有意な変動は認められなかったが、STAI質問紙を比較すると、非アロマ群の患者の平均点が高く有意差が見られた。このことから、アロマセラピーは気分を安らかにさせる、つまり患者の精神的な緊張を和らげるまでの効果をみいだすことができたと考える。<BR><結論> 1.STAIの比較で有意差がみられたことから、アロマセラピーは腰椎麻酔下での手術・検査を受ける患者の精神的な緊張を和らげる傾向にある。<BR>2.緊張状態を示す血圧・脈拍の変動に効果は認めなかった。<BR>引用文献<BR>1)曽我祥子:STAI(The State-Trait Anxiety inventory)について,看護研究アーカイブス,第1版,医学書院,2003.

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  • CRID
    1390282680494700928
  • NII Article ID
    130006944557
  • DOI
    10.14879/nnigss.57.0.294.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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