電子カルテの入力情報を利用した物流システムの現状と課題

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抄録

<緒言>当院では2002年5月に病院移転を行い、それと同じくして電子カルテとリンクした物流システムを導入し、当院の手術センター、心・血管造影室と供給課(SPD:Supply Processing and Distribution)の間で運用を行っている。近年高度化する医療とともに特定保険医療材料の高額化とその使用量の伸びは著しく、病院経営上からも適切な医療材料の管理が求められている。また。高額な特定保険医療材料のほとんどが当院では手術センターと心・血管撮影室で使用されている。そのため当該部署においてはより厳密な管理が要求されため、電子カルテと物流システムが連携したシステムを利用して管理・運営を行っている。当院におけるこのシステムの現状及び今後の課題もあわせて報告する。<BR><システムの現状>ある手術が予定されるとそれに伴う医療材料は医師を通じて納品業者に発注される。手術当日までにこれらの医療材料が手術センターに準備される。そして、手術おいて実際に使用された医療材料を部門システムを使用し実施入力を行い、結果的にそのデータが電子カルテに反映される。また、心・血管撮影室においては使用する医療材料を委託在庫しており、使用されると部門システムを使用して実施入力を行い電子カルテに反映される。一方、供給課においては電子カルテのこの実施入力を確認し、手術センターや心・血管撮影室で実施使用した特定保険医療材料を発注データに変換する作業をおこなっている。<BR><導入効果>電子カルテとリンクした物流システムを導入した結果、医事システムからのデータと物流システムの購入実績の比較検討が可能となった。毎月それらのデータを照合することが、特定保険医療材料の適切な運用に有用な手段であると考えられる。今後も継続していく事により、病院経営にも貢献する事になっていくと思われる。<BR><今後の課題>近年、医療が高度化するにともない診療報酬の包括化という変化は、DPCを導入する可能性等もあり、今後ますます医療の効率化及び適切化が要求される。特に高額な医療材料が適切に使用されないと病院経営にも影響を及ぼす。今後は更にきめの細かい医療材料の使用状況の把握、つまり患者ごとにおける電子カルテの入力情報の利用を図る。また更に適用部署の拡大を推し進め、薬品に対してもこのようなシステムを構築してくことが今後の課題となると考えられる。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680494759296
  • NII論文ID
    130006944620
  • DOI
    10.14879/nnigss.55.0.373.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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