救急外来における看護師のストレスについて

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  • -バーンアウトスケールを用いて-

抄録

〈緒言〉A病院の救急外来は、地域のセンター病院として、月に13回程度、夜間・休日全科対応で二次救急を担当し、日直・当直制で医師1名と外来看護師2名で対応している。救急外来の利用患者数は年々増加傾向にあり、救急日の日直帯で平均52人、非救急日の当直帯でも13人の受診や電話相談を受けている。受診数や内容によっては仮眠や十分な休憩が取れないことも多く、また全科対応のため、スタッフの疲労やストレスの訴えが非常に高い状況にあった。そこで、救急日・非救急日や日当直前後のストレスについて、バーンアウトスケールを用いて比較・検討したのでここに報告する。<BR>〈方法〉<BR>対象者:救急外来で日・当直勤務をする看護師、准看護師30名<BR>期間:平成19年9月10日~10月8日<BR>調査方法:自作の質問紙による意識調査とPinesのバーンアウトスケールを用いて勤務別、勤務前後のスケールを調査した。同意を得て質問紙を配布、回答は無記名とし個人情報の管理に留意した。<BR>分析方法: SPSS 15.0を用いてt検定、一元配置分散分析等を行い、p<0.05を有意差ありとした。<BR>〈結果〉1.質問紙より:対象者の年齢は30代が11名(37%)40代が18名(60%)であった。救急外来経験年数は3年未満が半数を占めた。救急外来勤務でストレスを感じる時期は勤務前、勤務中共に50%を占めていた。また、ストレスを感じる項目については1)救急患者が重なるとき2)日勤に続いての院内待機3)緊急性の高い重症患者の処置4)電話対応の順で高かった。<BR>2.バーンアウトスケールより( )内は平均値:救急日(4.3)と非救急日(3.8)の比較においては救急日のほうが有意にスケールが高かった。日直(3.8)と当直(4.1)の比較では有意差を認めなかった。勤務による比較では、休日救急日の当直(5.0)が最も有意に高く、次いで平日救急日の当直(4.2)で、最も低いのは平日非救急日の日直(3.6)であった。<BR>勤務前後による比較では、休日救急日の当直が勤務前(4.8)から勤務後(5.3)と最も上昇した。また、休日非救急日の当直は勤務前(4.3)が勤務後(4.0)より高かった。全ての勤務においてバーンアウト警告徴候3.0以上の傾向が見られた。<BR>〈考察〉二次救急を担当する地域の基幹病院はその役割として軽症から重症まで広く患者を受け入れており、医師を含めた医療従事者の精神的・肉体的疲労は増加の一途である。今回救急外来に勤務する看護職員全てがバーンアウト傾向にあり、救急の現場における緊張の度合いが立証された。受診する患者層が予測不可能というストレスが強く、特に休日非救急日の当直は勤務前のスケールが高いことから、勤務に対する不安の強さが現れた結果と考える。<BR>また休日救急日の当直前(4.8)、当直後(5.3)と共に高値で、その精神的負担は非常に大きい。翌朝の勤務免除や勤務作成上の配慮等が必要であると同時に、コンビニエンス化している二次救急の場において、地域での患者教育や受診のトリアージを実施することも重要な課題と考える。<BR>〈結論〉<BR>1.救急外来で勤務する看護職員の半数以上が勤務にストレスを感じていた。<BR>2.休日救急日の当直勤務前後は最もバーンアウトスケールが高値であった。<BR>3.ストレス軽減に向け、勤務上の配慮と共に、患者教育およびトリアージが必要である。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680494778880
  • NII論文ID
    130006944653
  • DOI
    10.14879/nnigss.57.0.248.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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