NICUにおける父性育成に向けた援助と対児感情の変化

Search this article

Description

<はじめに><BR>  近年、育児環境の変化に伴い父親の役割が重要視され、NICUでは父親の愛着形成に向け、カンガルーケアや育児練習参加などを実施している。しかし、父親のケアへの参加は母親に比べ少ないのが原状である。そのため、より良い父性育成に向け父親の対児感情の変化を知り、児の関わりやケアの内容が父性発達にどのような影響を与えているか明らかにすることで課題を見出し、今後の援助の充実を図る必要があると考え研究に取り組んだ。<BR> <研究目的>1.父親の対児感情を知りケアが父性発達に与える影響を明らかにしケアに対する課題を見出す。<BR> 2.研究対象および方法:対象 平成19年6月~8月に入院した低出生体重児の父親8名。(ただし心疾患や重症仮死、奇形のある児の父親を除く) 方法:入院1週間以内と退院決定後の2回、花沢の対児感情得点を測定し変化を評価した初回のアンケートは自由記載で児への現在の感情を記入した。退院決定後は児の入院期間・入院中の面会状況・行なったケアの内容・父親の実感について、自由記載欄には児への現在の感情と入院中印象に残ったこと、スタッフの対応について記入した。<BR> 3.倫理的配慮:両親に研究の目的と個人のプライバシーの保護を口頭で説明し同意を得た。<BR> <結果>父親の面会は週に1~2日が6名、3~4日が2名で1日の平均面会時間は67.5分であった。接近項目は全ての症例で得点が増加した。父親実感について、「とても実感している」20.5%「実感している」62.5%「少し実感している」12.5%であった。そのきっかけとしては抱っこが一番多かった。回避項目得点は4例が減少し、4例が増加していた。回避項目が増加した内容のうち「こわい」がもっとも多かった。入院1週間以内の児への気持ちには、「保育器の中から早く出てきて欲しい」「小さいけれど安心した」など、退院前では、「無事に退院できて嬉しい」「安心した」などの意見があった。スタッフに対しては、NICUで作成している面会ノートについて「毎日来ることが出来ないので非常に良かった」という意見もあった。<BR> <考察>接近項目得点の増加は父親の児に対しての愛情や受容が反映されていると考えられる。また、全ての父親が抱っこをきっかけに父親の実感を感じており、児の状態が安定していれば毎日行なえる抱っこは父親実感を得る上で重要な役割を果たしていると考えられる。また、面会ノートは会えない時間の児を知る手がかりに効果的であった。回避項目得点が増えていた症例があったことは、低出生体重児の父親にとって当然の感情であると思われる。斉藤は「男性は自分の個人的経験を通して父親役割を自覚し自分なりの仕方で父親役割をはたしていくことによって父親になっていく」と述べている。NICUという環境の中で、仕事をしている父親は児と関われる時間は制限されることが多い。ケアの量や面会を頻度で愛着形成を計るのではなく、個々の父親に合ったケアを取り入れ、父親と児が心地よいと感じる環境を整えていくことが、愛着形成、父親育成につながっていくと考えられる。<BR> <まとめ>父親育成に向けて個々の父親に合ったケアを取り入れ父親と児が心地よいと感じる環境を整えていくことが必要である。

Journal

Keywords

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680495057024
  • NII Article ID
    130006944831
  • DOI
    10.14879/nnigss.57.0.349.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

Report a problem

Back to top