肺炎を繰り返す慢性期脳梗塞患者に対する、シロスタゾールの嚥下機能改善効果の検討

説明

〈はじめに〉国民生活基礎調査によると,65歳以上の死亡 原因の中で,肺炎は三大生活習慣病に続く死亡原因の第4 位となっている。慢性期脳梗塞患者は嚥下障害を有するこ とが多く,誤嚥性肺炎を高頻度で合併する。シロスタゾー ルが慢性期脳梗塞患者において肺炎発症率を低下させるこ とが報告されており,簡易嚥下誘発試験を用いた検討では シロスタゾールが嚥下反射を改善することが報告されてい る。今回我々は,肺炎を繰り返す慢性期脳梗塞患者に対す るシロスタゾールの嚥下機能改善効果をVF(嚥下造影 法)を用いて検討したので報告する。<br> 〈対象・方法〉2年間に1回以上肺炎を合併した慢性期脳 梗塞患者でシロスタゾール未使用の7例に対してVF 再検 を行った。嚥下機能は,日本摂食・嚥下リハビリテーショ ン学会による「嚥下造影の標準的検査法」に記載された評 価項目に基づいて評価を行った。<br> 〈結果〉嚥下時間はシロスタゾール投与前(6.71±2.62 秒)に比べて投与後(3.51±1.18秒)で有意に短縮してい た。嚥下機能評価では咽頭期を中心に,嚥下の各相で改善 傾向がみられた。<br> 〈結論〉1.慢性期脳梗塞患者においてシロスタゾール投 与によって,嚥下時間の短縮が得られた。2.シロスタ ゾールの投与に加え,リハビリ併用群において,より高い 嚥下機能改善がみられた。3.当院の検討では,シロスタ ゾールは嚥下時の咽頭期のみならず口腔期,食道期におい ても機能改善をもたらす可能性が示唆された。

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  • CRID
    1390282680495404288
  • NII論文ID
    130006945224
  • DOI
    10.14879/nnigss.58.0.163.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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