高齢者退院支援を試みて

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  • ー退院支援に伴う問題点を明らかにするー

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<はじめに>現在、日本は高齢社会の上に核家族社会となっている。核家族化は高齢者世帯の増加につながり、高齢者への介護力の低下を招いている。高齢者世帯は、退院後の方針が決まらず入院期間延長がある。私たちは1. 高齢患者が、家庭に帰ることに伴う問題を明らかにする2.高齢患者の受け入れ状況を調整するための手がかりを知る、を目的とした研究に取り組んだ。課題が明らかになったので報告する。<BR><研究方法><BR>期間 H16年 5月1日から10月31日<BR>対象 65歳以上、日常生活自立度A2からC2の患者・家族48名<BR>方法<BR>1.入院時に看護師が退院後の生活にむけて援助することを説明する<BR>2.同時に患者・家族の退院後の希望を聴取する。<BR>3.入院中は、7日毎カンファレンス行う。入院診療計画書の予定期間を手がかりに退院調整をすすめる。<BR>4.在院日数延長患者の理由を分析する。<BR>倫理的配慮<BR>1.研究で使用した希望聴取表は今回の研究以外では使用しない。<BR>2.医師より全身状態が極めて不良と判断された患者は対象者であっても研究対象としない。<BR><結果>在院日数延長患者の理由の内訳は、74%が病状変化、19%が様子観察、5% はリハビリ、2%はリニアックが理由であった。<BR><結論>患者が在宅に帰ることに伴う問題は2点となった。<BR>1.患者・家族と医療者の退院に対する認識の違い。<BR>2.福祉サービスについての患者・家族、医療者の知識不足。<BR><考察>患者・家族と医療者との退院に対する認識の違いは、「退院は完治してからするもの」という思い込みが影響している。実際、看護師から退院について説明を受けていても、医師に直接入院延長を依頼する患者・家族もみられた。また、高齢者は医療依存のある状態で退院することが多いため身体的問題や、不安などの精神的問題もある。これに対しては、患者の生活の中心は地域社会であるということを説明し、できるだけ患者・家族の希望する環境を整えることが必要と考える。<BR> 福祉サービスについての患者・家族、医療者の知識不足は、退院後の方針決定遅延につながる。患者・家族に福祉サービスの情報を提供し、入院早期から退院援助するためには医療者の知識が豊富でなければならない。<BR><まとめ>今回明らかになった課題は、今後退院支援を行ううえで重要なものとなった。これを踏まえたうえで患者・家族の希望にできるだけ沿った退院支援を行っていきたい。<BR>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680495483520
  • NII論文ID
    130006945292
  • DOI
    10.14879/nnigss.55.0.263.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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