超音波検査における乳腺腫瘤形成性病変の評価について

Bibliographic Information

Other Title
  • 当施設の現状を中心に

Description

<緒言> 現在当施設では乳腺腫瘤形成性病変に対し,1988年に日本超音波医学会から公示された「乳房超音波断層法の診断基準」(以下,日超医基準とする)を参考とし評価・表現している。しかし日超医基準は,高周波診断装置が主流となった現在の乳腺超音波診断に対し腫瘤を適切に表現できていない可能性もある。そこで,今回我々は現在参考としている日超医基準と良悪性評価との関連性及び日超医基準以外に良悪性評価に有効であるといわれている評価項目についての有用性とその関連性を検討したので報告する。<br> <対象> 平成15年9月_から_平成17年3月の間に当施設外科を受診し,乳腺超音波検査により腫瘤形成性病変を疑われ,細胞学的検査又は病理組織学的検査により,診断がおこなわれた137例(良性59例,悪性78例)を対象とした。<br><方法><br>1) 超音波リアルタイム画像において,乳腺腫瘤形成性病変に対し,日超医基準各項目及び良悪性ついての評価をおこなった。<br>2) 日超医基準以外の腫瘤形成性病変に対する評価項目の中で,良悪性評価に有効だと思われたechogenic spot,connective tissue sign,境界線の途絶の3項目(以下3評価項目とする)について,現在乳腺超音波検査に携わっている技師3名により超音波フィルム画像を再読影することで評価した。<br><検討項目><br>1) 日超医基準各項目に対し,数量化2類による多変量解析を行うことにより悪性腫瘤に対する偏相関係数を算出し,各項目と良悪性評価との関連性を検討した。<br>2) 3評価項目それぞれについて,良性・悪性の内訳を出すことにより良悪性評価に対する有用性を検討した。<br>3) 3評価項目と良悪性評価との関連性の高さを知ることを目的とし,日超医基準に3評価項目を加えた10項目に対し数量化2類による多変量解析を行ない,偏相関係数を算出することで3評価項目と良悪性評価との関連性を検討した。<br><結果及び考察><br>1) 日超医基準各項目に関する数量化2類による分析をおこなった結果,偏相関係数が,形状,境界エコーで0.346,0.280となり,他の項目と比較し,良悪性評価との関連性が高い傾向を示した。この要因としては,これらの項目が,腫瘤の浸潤の有無を表現しているためと考えられた。<br>2) 3評価項目において,良性・悪性の内訳を出した結果,3評価項目とも悪性を示す割合が有意に高く,良悪性評価に対する有用性が示唆された。3評価項目は悪性腫瘤の発育に随伴する所見を評価・表現しているためと考えられた。<br>3) 日超医基準に3評価項目を加えた10項目に関する数量化2類による分析の結果,echogenic spot,境界線の断絶では,偏相関係数がそれぞれ0.424,0.250となり,他の項目と比較し良悪性評価との関連性が高い傾向を示した。 connective tissue signにおいては0.007となり,他の項目と比較し関連性が低い傾向を示した。<br> connective tissue signが低い傾向を示した要因として,今回は超音波フィルム画像からの評価であり,検査時における技師の認識不足から適切な画像が残されていないことが要因の一つであると考えられた。

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680495522688
  • NII Article ID
    130006945339
  • DOI
    10.14879/nnigss.55.0.267.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

Report a problem

Back to top