院内システム障害時マニュアルの再構築

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説明

〈背景〉当院では2004年に医療情報システムが導入され た。診療録,オーダリング,各種検査結果に至るまで,ほ ぼ全ての診療情報が電子化されている環境では,システム ダウンの影響は非常に大きい。これに備えるシステム障害 対応マニュアルは稼働当初から存在していたが,わかりづ らく職員間の認知度も低かった。稼働から5年を迎えるに あたり経年劣化によるシステム障害の危険性は日々増大し ており,障害時運用を見直すこととなった。<br> 〈目的〉全ての職員に理解しやすく,かつ障害時に実際使 える対応マニュアルと準備物を作成し周知する。<br> 〈構成〉<br> 1)全システムを電子カルテ(オーダ含む),医事システ ム,部門システム,検査結果システムの4つに分類し た。<br> 2)1)をそれぞれ,復旧に1時間以上を要する場合と,1 時間以内での復旧が見込める場合で対応を分けた。<br> 3)1),2)の分類から障害パターンを8つに分類した。<br>4)8パターンに救急トリアージに類似したトリアージカ ラーを当て,障害状況,状況周知を容易にした。<br> 5)障害時には紙カルテ,伝票,フィルム等を利用するこ ととし,トリアージカラーに合わせて対応一覧表を作成 し状況把握と対応準備が容易になるようにした。<br> 6)障害時用伝票を再整備し,各伝票にアルファベット ネームをつけることで,障害時必要な書類が簡単に認識 できるようにした。また,患者への広報ポスターなど, 障害時に必要な物品も見直し整備した。<br> 〈障害時マニュアル作成と院内周知〉マニュアル作成時 は,各部署から選抜した委員から問題をあぶり出し,対応 方法を検討し形にする方法でマニュアルを作成した。 完成したマニュアルの周知は,各作成委員自らが所属す る部署へ講義することで,障害時に対応の中心となるス タッフ育成を行った。 障害に対して最も認識が低い医師に対しては,複数回の 講義を行うことで周知の徹底を行った。<br> 〈結果および考察〉外来部門でリハーサルを行ったとこ ろ,職員の理解度が高まっていることと,問題改善意識が 生まれていることが感じられた。今後も定期的なリハーサ ルの開催や障害時運用の見直しを行い,さらなる体制強化 に努めたい。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680495658496
  • NII論文ID
    130006945502
  • DOI
    10.14879/nnigss.58.0.210.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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