背部痛と意識消失発作で救急搬送され、片側性大量胸水を認めた1例

DOI

抄録

【症例】64歳女性。<BR> 【既往歴】5年前より関節リウマチの診断あり近医にてフォローされていた。【主訴】背部痛<BR> 【現病歴】来院2~3日前から自制内の腰痛があった。来院当日、呂律障害および意識消失発作あり同日救急搬送された。なお再三の問診にて転倒等による側胸部への打撲の自覚はなかった。<BR> 【入院時現症】収縮期血圧70mmHg 、GCS E3V5M6 右前胸部全体にcoarse cracklesを聴取する。体幹部に小結節の多発を認めた。SpO2=94%(酸素10L/分Mask)<BR> 【入院後経過】入院時胸部X-rayにて右大量胸水を認めた。頭部CT検査にて異常なく、胸部造影CTにてAortic Dissectionの所見はなかった。胸腔穿刺にて胸水は血性であり、胸水LDH=182/血清LDH=151>0.6にてLight’s criteriaよりExudativeと判断された。(胸水ADA=13.2 IU/L)カテコラミン投与にて血圧80mmHgと低値で維持されたが外傷性血胸の可能性もあった為胸部外科手術可能な施設へ転院となった。<BR> 【術中所見】開胸術にて、右奇静脈と上大静脈の合流部に血管腫を認め同部位の破裂による血胸と判断し血管腫除去及び止血術が施行された。<BR> 【考察】本症例は体表面にneurofibromaを認め、虹彩にLisch nodulesを確認しNurofibromatosis-1(NF-1)と診断した。今回の病態は血管腫破綻による血胸およびhypovolemic shockと推測した。Duongらの1226人のNF-1の予後を追跡したCohort研究(Orphanet J of Rare Diseases 2011,6:18)では5.5%と高率な死亡率が記載されているが本症例では適切な救急対応によって幸いにも救命することができた。病理所見を追加して報告する予定である。

収録刊行物

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680495866496
  • NII論文ID
    130006945642
  • DOI
    10.14879/nnigss.60.0.130.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ