透析患者の血液ガス分析結果(Na,K,Cl,Hgb,Hct)から見る従来法との比較検討

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抄録

【はじめに】<BR>透析患者は定期的に病態をコントロールするため、多量の採血を必要とされる。また、背景に慢性的な貧血が進行している患者が多いため、採血量を最小限にとどめることが望まれる。近年、血液ガス分析装置の分析能の向上により多数の項目が全血にて測定できるようになってきた。今回、我々はヘモグロビン(Hgb)、ヘマトクリット(Hct)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、クロール(Cl)を対象とし、血液ガス分析装置と従来法のデーターの比較検討を行なったのでその結果を報告する。<BR>【対象】<BR>平成16年9月から平成17年4月までの透析患者のうち、定期検査を行なった、のべ634名。<BR>【使用機器、測定項目】血液ガス分析装置 カイロン850(大誠医科) Hgb,Hct,Na,K,Cl<BR>多項目自動血球分析装置 XE-2100(シスメックス) Hgb,Hct<BR>多項目自動生化学分析装置 TBA200FR(東芝) Na,K,Cl<BR>【測定方法】<BR> 表1 参照<BR>     <BR>【検討方法】<BR>透析患者の血液ガスを採血後直ちに氷冷し30分以内に測定し、同時に提出された生化学検査及び貧血検査のデーターとの相関を比較検討する。<BR> 【結果】<BR>Hgb 相関係数0.872 Y=0.790X+2.073<BR>Hct 相関係数0.845 Y=0.866X+6.934<BR>Na 相関係数 0.812 Y=0.882X+17.349<BR>K  相関係数 0.983 Y=0.909X+0.346<BR>Cl  相関係数  0.892 Y=0.986X+2.865<BR>(X軸を血液ガスデーター、Y軸を従来法とする)<BR>【考察】<BR>検討した5項目の相関係数はすべて0.7以上となりピアソン積率相関係数の評価によると強い相関が認められる。しかし、Na,K,Clに関して血液ガス分析装置では、全血で測定するため、従来法より若干低く出る傾向が認められた。血液ガス分析装置は、検体到着から結果報告までが非常に短時間で検体量も少量で実施することが出来る。しかし、透析患者の検査結果のわずかな増減は、患者の病態のコントロールに大きく影響するため、従来法との違いを充分に認識し検査結果をみる必要があると考えられる。<BR>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680496205824
  • NII論文ID
    130006945926
  • DOI
    10.14879/nnigss.54.0.277.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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