障害者の受け入れ要件を通してみる,働きやすい農業労働環境づくり

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抄録

〈背景と目的〉近年,農業は,就労を希望する障害者の働<BR> く場として注目されている。また農園芸作業には,園芸療<BR> 法にみるように,人へのポジティブな効果があるといわれ<BR> る。一方,農業人口が高齢化する中,農家にとって障害者<BR> は,多様な働き手の一員として期待されている。しかし,<BR> 農業で障害者が働く姿を想像できない,受入れ方法がわか<BR> らない等,農業者と障害者の接点の不足や,農業分野での<BR> 障害者就労に関する情報の少なさが課題となっている。そ<BR> こで報告者らは,農業分野における障害者就労に関する実<BR> 態把握と支援策の検討を行っている※。本報では,質問紙<BR> 調査及び受入れ事例調査から,働きやすい環境づくりに注<BR> 目して報告する。<BR> 〈方法〉_丸1_2008年,(社)日本農業法人協会会員約1,700法<BR> 人を対象とした質問紙調査(回収率27.9%)。_丸2_2007~08<BR> 年度,障害者の雇用または訓練受入れ実績のある全国十数<BR> 事例の農業法人等に対する聞き取り及び参与観察。なお,<BR> 調査にあたり障害の種類は特定しなかったが,知的障害,<BR> 精神障害の事例が多い。<BR> 〈結果〉質問紙調査の結果,障害者雇用に関する不安・心<BR> 配は,「障害者に適した業務の特定・開発」(全体の6<BR> 割),「障害者の事故や怪我」(同5割),「障害者のための<BR> 環境整備」(同4割)が上位を占めた。一方,これらに対<BR> し,受入れ事例では,作業工程の分割と組立て,作業器具<BR> の工夫,休憩所等ハード面の整備,障害者への理解やナ<BR> チュラルサポートの形成等の心理社会面での配慮等を行う<BR> ことにより,障害特性に合わせ,より働きやすい環境を創<BR> る努力がされていた。<BR> 〈考察〉ここで得られた受入れに必要な要件等から,障害<BR> 者の就労にとどまらず,一般的な農業労働全般の,個人の<BR> 特性を活かした快適な環境づくりにつながる示唆が得られ<BR> た。<BR> <BR> ※本報告は,当研究所が農林水産省経営局より受託した,<BR> 農村生活総合調査研究事業(「農業分野における障害者<BR> 就労マニュアル」等を刊行)の成果の一部である。<BR>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680496318848
  • NII論文ID
    130006946018
  • DOI
    10.14879/nnigss.58.0.354.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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