抗がん剤調製で使用する診療材料と環境調査

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  • 調査から見えてきたガイドラインと実態の隔たり

抄録

〈緒言〉2002年の診療報酬改定において外来化学療法加算<BR> が新設されたことにより,外来通院治療室などで抗がん剤<BR> ミキシング調製されるようになった。調製にあたり薬剤師<BR> 会等から出されたガイドラインに沿ってマニュアルが整備<BR> されてきているが,実際に調製している薬剤師等の抗がん<BR> 剤の被ばくに対する安全管理についての認識と使われる診<BR> 療材料の正当性を検証したことはない。そこで,「厚生連<BR> 医療材料全国共同購入委員会」において実態調査を行い,<BR> ミキシング調製時の環境と診療材料の使用状況について検<BR> 討した。<BR> 〈対象と方法〉全国厚生連の病院を対象にアンケート形式<BR> で調査を行った。<BR> 主な項目として<BR> ・主たるミキシング調製者と環境について<BR> ・使用する材料について(手袋,マスク,ゴーグル,ガウ<BR> ン,シート,閉鎖式ミキシング器材の採用等)<BR> ・1ヶ月あたりの調製件数について(シクロホスファミド<BR> の調製件数等)<BR> 〈結果〉<BR> (1)安全キャビネットについては採用していない施設もあ<BR> り,クリーンベンチを兼用してミキシング調製してい<BR> る。<BR> (2)手袋については多くのガイドラインにおいて2枚使用す<BR> ることが望ましいとしているが,約半数の施設では1枚<BR> 使用である。また,1枚使用の施設では,抗がん剤が透<BR> 過し易く高価な「滅菌済みのゴムまたはラテックス製の<BR> 手袋」を使用している。<BR> (3)閉鎖式ミキシング器材についてはまだほとんどの施設で<BR> 採用されていない。揮発性の高いシクロホスファミドの<BR> 薬品採用率が92.45%に対して,閉鎖式ミキシング器材<BR> の採用率は4.08%である。高価で不採算な安全のための<BR> 器材は採用されていない。<BR> 〈考察〉抗がん剤ミキシング調製において,ガイドライン<BR> に基づく環境整備が不十分である。特に,安全キャビネッ<BR> トの設置や手袋の材質や2枚使用など各施設における安全<BR> 対策について再度検討すべきと考える。その際には,正確<BR> で安全な調製技術を習得した薬剤師を有効に活用し,安全<BR> 性と治療薬の有効性の確保に取り組む必要がある。また,<BR> ガイドラインに沿った,より廉価で品質面でも安心できる<BR> 共同購入アイテムを利用して環境整備することを推奨す<BR> る。<BR>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680496404480
  • NII論文ID
    130006946106
  • DOI
    10.14879/nnigss.58.0.417.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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