肩関節回旋筋群の筋力増強訓練指導の経験

Description

<はじめに>セラバンドを使用した回旋筋群の筋力増強訓練[筋トレ]を実施した.肩関節[jt]屈曲・外転時の疼痛軽減を認めるが,自主トレーニング[自主トレ]の負荷量増加に伴い疼痛・関節可動域[ROM]の悪化を認めた.その治療経験について経過をまとめた. <症例> 30代前半. 職業:食肉の卸加工. 現病歴:10年前にバイク事故により左肩jt亜脱臼・左肩甲骨骨折し保存的加療となる.退院後ROM・日常生活活動[ADL]・仕事に支障はなかった.作業療法[OT]開始約4カ月前,精肉を持ち上げた際に疼痛が出現し,左肩の運動時痛・歩行時に肩から上腕にかけ倦怠感を認めた.三角筋の著明な萎縮を認めるものの,画像所見では骨折・腱損傷を認めなかった.そのため腕神経損傷(10年前)・左肩腱板損傷(今回)と診断されOTが処方された. <経過>【導入期】左肩下垂が著明.徒手筋力検査[MMT]は僧帽筋・菱形筋・肩jt屈筋群・伸筋群・外転筋群・外旋筋群・肘jt屈筋群で2(pain),大胸筋・肩jt内旋筋群で3(pain).肩甲上腕リズムを修正し肩jt屈曲90-100度まで疼痛なく可能(座位,他動).上肢挙上を伴うADL動作は困難.ROM訓練,セラバンドを使用した回旋筋群・表層筋の筋トレ開始(1回/週・1回40分).【3カ月後】肩jt外転時に上腕骨頭の引き付けが観察され,回旋筋群の筋力改善を認めた.【6カ月後】上肢屈曲時の疼痛・代償動作が軽減し,自覚症状としても改善を認めた.【自主トレ期】回旋筋群の筋トレ後,疼痛出現し肩jt屈曲・外転が困難となった.【自主トレ制限期】1カ月程度で疼痛消失し,肩jt屈曲120度・外転85度,MMTは三角筋3(pain),それ以外で4と改善を認めた.左肩jt亜脱臼に改善認めないが,左肩下垂は軽減.肩jt屈曲保持は困難であるものの,洗髪・洗顔は可能となった. <終わりに>一般的に自主トレの重要性を指摘する見解は多いものの,どのように自主トレを指導するかによりその結果は様々である.今回の治療経験を通して,自主トレ指導の重要性について再認された.

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680496477696
  • NII Article ID
    130006946190
  • DOI
    10.14879/nnigss.59.0.382.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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