急性歯髄炎における歯痛発症の日内変動

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  • Circadian Variation of Pulp Sensitivity for Acute Pulpitis

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臨床医学のさまざまな疾患において,その症状の発現に日内変動が存在し,臨床検査値や薬物の効果に大きな影響を及ぼすことが知られるようになってきている.歯髄炎に伴う歯痛が夜間に発生しやすいことは経験的に知られているが,日内変動と急性歯髄炎に伴う歯痛との関係についてはいまだ不明である.本研究は歯痛を訴える患者に対し,歯痛の日内変動に関する調査を行った.急性歯髄炎に伴う歯痛を主訴に来院した患者73名に対し,インフォームドコンセントを得たうえで,性別,年齢,歯種,痛みの症状,痛みの発症時刻,1日の生活習慣(起床時間,食事時間,入浴時間,就寝時間)に関するアンケート調査を行った.統計分析には,カイ2乗検定と回帰分析を用いた.急性歯髄炎における歯痛は,夕方から深夜の時間帯と朝の7時から8時に集中的に発症していた.1日の生活習慣である起床,食事,入浴,就寝について歯痛発症時間との相関関係を調べたところ,朝7時から8時に歯痛を訴えた患者においては,起床時間と歯痛発症時間の間に相関関係がみられたが,夕方から深夜に歯痛を訴えた患者においては1日の生活習慣との相関関係がみられなかった.男女別,年代別,歯種別によって歯痛の発症時間に相違はみられなかった.これらのことより,急性歯髄炎による歯痛発症時間には日内変動の存在が認められた.

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