子宮頚部細胞診における液状細胞診(LBC)と従来法の比較検討

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【目的】子宮頚部細胞診における液状細胞診(Liquid Based Cytology:以下LBC)と直接塗抹法(従来法)について、異型細胞の検出率、標本作製および鏡検時間の比較検討を行いLBC法の有用性を検証した。<BR> 【方法】対象は当院婦人科外来で子宮頚部細胞診を行った50症例。採取器具はcervexブラシ(MBL社)、LBCはTACAS(MBL社)を使用した。採取はcervexブラシにて子宮頚部を擦過し、直接スライドグラスに塗抹する従来法の後、同一ブラシをLBC用の保存液に入れて回収するスプリットサンプル法を用いた。マニュアル法にてTACAS標本を作製した後従来法、LBC法ともパパニコロウ染色を行い、判定はベセスダシステムにて行った。判定結果は、マッチドペア・盲検試験法にて比較した。また標本作製時間+鏡検時間の比較も行った。<BR> 【結果】異型細胞の検出率は従来法:8%、LBC法:12%であった。標本作製時間は従来法:2.0分/枚、LBC法:4.5分/枚であった。鏡検時間は従来法:7.5分/枚、LBC法:3.0分/枚。標本作製+鏡検時間では従来法:9.5分/枚、LBC法7.5分/枚。合計時間では標本作製時間が余分にかかってもLBC法の方が時間短縮になっている。<BR> 【考察】LBC法の利点として、1.検体採取後の手技が容易。2.不適正検体の低減。(固定前乾燥標本など)3.スクリーニング精度の向上。4.鏡検時間の短縮。(標本塗抹面が13mmの円で細胞の重なりが少なくみやすい)5.HPV検査などの追加検査が同一検体で可能。等があげられる。一方検討点として、1.従来方よりコストがかかる。(保存液、専用スライドグラスが必要)2.細胞像の見方に若干の慣れを必要とする。等があげられる。 以上の点をふまえても、LBC法は利点が多く有用性があると考えられる。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680498266880
  • NII Article ID
    130006946912
  • DOI
    10.14879/nnigss.60.0.320.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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