外傷性脾損傷に対する治療方針

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  • TAEの適応に関して

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【目的】鈍的腹部外傷における脾損傷は肝損傷、腎損傷とともに頻度の高い疾患である。従来外傷性脾損傷に対しては脾臓摘出術が第一選択とされてきたが、脾臓のリンパ組織としての重要性や脾摘後重症感染症の危険性が認識されるようになり、ここ10数年にわたり非手術治療や脾臓温存術式が選択されるようになってきた。 【方法】外傷性脾損傷とは交通事故やスポーツ外傷などの外力によって脾臓に裂傷や出血を生じた病態で、主症状は腹痛と腹腔内出血であるが、腹腔内で脾臓は一旦出血すると止血しにくい臓器であり、重篤化することがある。日本外傷学会で脾損傷分類があるが、損傷の程度に応じた治療法の選択という面では明確なガイドラインが存在しないのが現状である。CT画像より損傷形態を予測し、保存的療法、TAEなどの血管内療法、脾臓摘出術等の治療を行うこととなる。当院での症例と比較し治療の選択基準について検討した。 【結果】2000年から10年間で当院における外傷性脾損傷は15例、それぞれ損傷形態を分類し、治療内容を検討した。但し中越大震災以前の画像が存在しないため、2006年3月以降の7例を画像で分類した。保存的療法のみが3例、TAE2例、手術2例であった。保存的療法、TAEを施行した後で手術移行例はなかった。日本外傷学会分類_II_型で手術を選択した症例では、肝損傷・横行結腸穿孔を合併していた。 【考察】TAEの適応については高頻度の濃厚赤血球輸血を必要とする、日本外傷学会分類で_III_b型以上、脾動脈根部での出血症例に関してはTAE後の再手術率が高い。当院でのTAE施行2例は_II_~_III_a型であった。_III_bに対し保存的治療を施行した症例は、全身状態良好、CT上脾損傷の程度に比し腹腔内出血が少ないためであった。 【結語】過去10年間に15例の外傷性脾損傷を経験、そのうちTAE施行は2例だが、いずれも有効であった。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680498815872
  • NII Article ID
    130006947191
  • DOI
    10.14879/nnigss.60.0.426.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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